【花粉症】水毒とは?カルダモンの研究と足三里・天枢のセルフケア

【花粉症】水毒とは?カルダモンの研究と足三里・天枢のセルフケア 耳鼻咽喉科

この記事の結論

花粉症の「水毒(すいどく)」とは、東洋医学で、体にたまった余分な水が滞った状態を指す考え方です。動画では、花粉症の鼻水・鼻づまりをこの水の滞りと結びつけて紹介しました。一方、カルダモンが花粉症に効くことを示すヒトの研究は、今回の文献検索では見つかっておらず、ヒトでは未検証です。

この記事の対象者
毎年、花粉の時期の鼻水・鼻づまりがつらい方、東洋医学の「水毒」の考え方を知りたい方、カルダモンなどスパイスを使ったセルフケアに関心がある方。鼻づまりを今すぐ楽にしたい方は【花粉症】鼻づまりを5分で解消するセルフケア、検査の読み方を知りたい方は【花粉症】検査の読み方|セルフケア4選をご覧ください。

この記事では、大阪の木もれび鍼灸院・院長 弓削周平(鍼灸師・臨床経験27年)が、ツボ塾の動画で話した内容をもとに、水毒の考え方、カルダモンの成分に関する研究、足三里・天枢のセルフケアを解説します。東洋医学の考え方と、研究で分かっていることを、分けてお伝えします。

花粉症の「水毒」とは何ですか?

水毒とは、東洋医学で「体の中の水の巡りが滞り、余分な水がたまった状態」を指す考え方です。動画では、水毒を「痰(たん)」とも呼び、痰湿(たんしつ)にあたるものとして説明しました。鼻水や鼻づまりは、この余分な水が鼻に現れたものと考えます。

東洋医学では、飲食物から得た水分を全身に巡らせる働きを、五臓の「脾(ひ)」が担うと考えます。脾が弱ると水の巡りが滞り、余分な水がたまりやすくなります。動画では、インフルエンザなどで吐く・下すといった胃腸の不調が長引き、胃が冷えて弱った状態(虚寒・きょかん)から水の滞りが起こる、という流れを紹介しました。

胃腸(脾)の弱り・冷え → 水の巡りの滞り(水毒・痰湿) → 鼻水・鼻づまり

※これは東洋医学の考え方です。西洋医学で確認された仕組みとして紹介しているものではありません。花粉症の症状がすべて水毒で説明できるわけではなく、体質や症状の出方には個人差があります。

水毒そのものの考え方は【気象病】水毒が万病の元?体質別お茶4選で秋の不調を根本解決で、花粉症の鼻づまりを脾の弱りと痰湿から説明した内容は【花粉症】鼻づまりを5分で解消するセルフケアで解説しています。

神香散とカルダモンは、東洋医学でどう考えるのですか?

神香散(しんこうさん)は、明の時代の張景岳(ちょう けいがく)がまとめた『景岳全書』にある漢方薬で、丁香(ちょうじ=クローブ)と白豆蔻(びゃくずく)の2つの生薬でできています。動画では、この2つを組み合わせることで強い「化湿(かしつ)」の作用が出ると、当時分析されたと紹介しました。化湿とは、体にたまった余分な水(湿)をさばいて除く、という東洋医学の考え方です。

動画では、神香散は、胃腸の弱りから起こる水の滞りを整える薬として使われ、風邪のあとの不調、胃腸薬、慢性鼻炎・副鼻腔炎などに広く使われた、と紹介しました。

生薬の名前についての注記
神香散の「白豆蔻」はアモムム属(Amomum)の生薬で、食品として売られている一般的なカルダモン(Elettaria cardamomum)とは別の植物です。動画ではカルダモンとして紹介しましたが、神香散と同じ働きが、食品のカルダモンにあると確認されているわけではありません。

動画では、クローブには肝臓への毒性があるため、カルダモンだけでも紹介しようと考えた、と話しました。

院長の体験(個人の体験です)

私自身も花粉の症状があり、カルダモンを口の中でポリポリと噛むようにしたところ、症状がほとんど気にならなくなった経験があります。動画では、この体験をきっかけに、広く知っていただきたいと思ったとお話ししました。

これはあくまで私個人の体験です。同じ結果になることを保証するものではなく、効果には個人差があります。

カルダモンには、どんな成分が含まれていますか?

動画で話したこと

動画では、カルダモンには炎症を抑える物質や、抗菌・抗真菌の作用をもつ物質が含まれ、最も多いのはシネオール、ほかにα-テルピニルアセテート、リモネン、リナロールなどの精油成分があると紹介しました。

研究で分かっていること

カルダモンの精油を分析した実験研究で、主な成分は1,8-シネオール、α-テルピニルアセテート、α-ピネンでした。成分の分析結果としては、確立した事実です。ただし、この研究は家畜に寄生するダニへの作用を調べたもので、ヒトを対象にしたものではありません。また、調べたのは精油であり、スパイスとして食べる量や形とは同じではありません。

動画との違い
動画で挙げたリモネン、リナロールは、今回取得した論文の抄録では確認できませんでした(未検証)。

カルダモンの成分に、炎症や細菌を抑える作用はありますか?

動画で話したこと

動画では、これらの成分が鼻の粘膜の腫れを抑え、慢性の副鼻腔炎では細菌を抑え、真菌(カビ)が関わる場合にも働くと話しました。また、薬のように切れ味の鋭い作用ではなく、じわじわと働くので、体が弱い方に向く、とも紹介しました。

研究で分かっていること

カルダモンの果実と種子の抽出物を使った実験で、炎症の刺激を与えた培養マクロファージ(免疫細胞)が出す炎症性の物質が減ったこと、また、口の中の細菌4種の増殖を抑える作用がみられたことが報告されています。培養した細胞や細菌を使った実験(in vitro)の結果であり、確度は機序的仮説の入口にあたります。ヒトが食べた場合の効果や、鼻・副鼻腔での作用を示したものではありません。

動画との違い
動画では、鼻の粘膜の腫れ・副鼻腔の細菌・真菌への働きを話しましたが、研究で確認できたのは、培養細胞での炎症性物質の減少と、口の中の細菌への抗菌作用までです。次の点は、今回の文献検索では確認できず、ヒトでは未検証です。
  • カルダモンが花粉症・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎に効くことを示すヒトの研究
  • 抗真菌作用
  • 「じわじわ効く」という効き方
動画で話した「長期間の抗生物質を飲むより…」という比較は、根拠となる研究が見つからなかったため、この記事では扱いません。

シネオールの臨床研究では、何が分かっていますか?

動画で話したこと

動画では、カルダモンは鼻炎、副鼻腔炎、蓄膿、中耳炎の予防にもなると話しました。

研究で分かっていること

副鼻腔炎に使われるハーブ(生薬)の治療を、多数のランダム化比較試験をもとにまとめたネットワークメタ分析があります。この分析では、風邪などのあとに起こる急性の副鼻腔炎(急性ウイルス後副鼻腔炎)で、シネオールとペラルゴニウム(Pelargonium sidoides)が、症状を抑える点で最も有効な治療だったと報告されています。確実性は「中等度」とされました。

確度は「研究報告あり」です。ただし、これはシネオールを有効成分とする製剤の結果であり、カルダモンを食べた場合の結果ではありません。また、対象は花粉症ではなく、急性の副鼻腔炎です。

動画との違い
動画ではカルダモンが鼻炎・副鼻腔炎・蓄膿・中耳炎の予防になると話しましたが、カルダモンを食べることでこれらを予防できるかを調べたヒトの研究は、今回の文献検索では確認できませんでした(ヒトでは未検証)。

水毒のセルフケアとして、足三里と天枢はどう使いますか?

ここからは東洋医学の考え方にもとづくセルフケアです。研究で効果を検証したものではありません。動画では、胃が冷えて働きが弱まっている状態を整える2つのツボとして、足三里と天枢を紹介しました。

足三里(あしさんり)

場所:動画では、親指と人差し指を膝のお皿に合わせ、人差し指が当たるところと紹介しました。

使い方:お灸をします。胃が冷えて、胃の働きが弱まっている状態のときに使います。

関連記事:足三里のお灸については、【防災・備蓄】鍼灸師が教える「備蓄にお灸」という新常識でも取り上げています。

天枢(てんすう)

場所:おへそから、左右に指3本分外側です。

使い方:両手をすり合わせて温め、その手を天枢に当てます。温めた手を当てるだけで十分です。

動画では、足三里と天枢を組み合わせることで、胃の冷えた状態を整えていくことができると紹介しました。

※お灸をするときは、やけどに注意してください。妊娠中の方、持病のある方は、事前に医師に相談してください。効果には個人差があります。痛みや違和感がある場合は中止してください。

始めた頃にお腹の様子が変わったら

動画では、始めた頃に便がやわらかくなったり、便の回数が増えたりすることがあると紹介しました。これは「よくなっているサイン」と決めつけず、体の反応として様子を見てください。腹痛を伴う場合や、ゆるい状態が続く場合は、セルフケアを中止して医療機関を受診してください。

カルダモンを使うときの注意点は何ですか?

  • クローブ(丁香)を単独で多量にとることは避けてください。動画でも、クローブには肝臓への毒性があると触れています。
  • カルダモンは薬の代わりではありません。処方された薬は、自己判断で中止しないでください。
  • 妊娠中・授乳中の方、持病のある方、薬を飲んでいる方は、始める前にかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。
  • 食べて体に合わない症状(発疹、息苦しさ、強い腹痛など)が出たときは、中止して医療機関を受診してください。

※カルダモンの摂取量の目安は動画で示していません。食品に表示された量を守ってください。

セルフケアで改善しない場合は

鼻水・鼻づまりが長く続く場合や、高熱、顔の強い痛みや腫れ、血の混じる鼻水、息苦しさがある場合は、耳鼻咽喉科などの医療機関を受診してください。花粉症の症状は、薬による治療が必要な場合もあります。

当院では、鼻の症状に対する鍼灸の考え方を副鼻腔炎の鍼灸治療についてで紹介しています。耳と鼻のつまりのセルフケアは【副鼻腔炎】耳と鼻のつまりが同時にスッキリ|3分セルフケアをご覧ください。

花粉症・鼻の不調のご相談

毎年の花粉の時期の不調について、東洋医学の視点から体の状態を一緒に確認します。一人で抱えなくて大丈夫です。

お問い合わせはこちら

よくある質問

花粉症の「水毒」とは何ですか?

東洋医学で、体にたまった余分な水が滞った状態を指す考え方です。動画では、水毒を「痰(たん)」とも呼ぶと説明し、花粉症の鼻水・鼻づまりをこの滞りと結びつけました。西洋医学で確認された仕組みではなく、東洋医学の考え方として紹介しています。

カルダモンは花粉症に効きますか?

カルダモンを食べて花粉症やアレルギー性鼻炎が改善するかを調べたヒトの研究は、今回の文献検索では見つかっておらず、ヒトでは未検証です。院長は動画で自身の体験を紹介しましたが、個人の体験であり、同じようになるとは限りません。

シネオールの研究結果は、カルダモンを食べた場合にも当てはまりますか?

当てはまるとはいえません。シネオールの臨床研究は、シネオールを有効成分とする製剤を使った結果です。また、対象は花粉症ではなく、風邪などのあとに起こる急性の副鼻腔炎でした。

神香散とは何ですか?

明の時代の張景岳『景岳全書』にある漢方薬で、丁香(クローブ)と白豆蔻の2つの生薬からなります。動画では、胃腸の弱りから起こる水の滞りに使われた処方として紹介しました。

妊娠中や薬を飲んでいる場合でも使えますか?

自己判断で始めず、かかりつけの医師や薬剤師に相談してください。妊娠中・授乳中の方、持病のある方、薬を飲んでいる方は、特に事前の相談をおすすめします。カルダモンは薬の代わりではないため、処方された薬を自己判断でやめないでください。

ツボを刺激して、お腹がゆるくなったらどうすればよいですか?

動画では、始めた頃に便がやわらかくなったり、便の回数が増えたりすることがあると紹介しました。腹痛を伴う場合や、ゆるい状態が続く場合は中止して、医療機関を受診してください。

クローブ(丁香)を単独でとってもよいですか?

動画では、クローブには肝臓への毒性があると触れ、カルダモンだけを紹介しました。クローブを単独で多量にとることは避けてください。

関連記事

花粉症・鼻の症状

水毒・足三里のセルフケア

症状別ページ

監修

木もれび鍼灸院/ツボ塾 代表

弓削 周平(ゆげ しゅうへい)

保有資格
  • 鍼灸師(はり師・きゅう師)
  • 日本東洋医学会会員
経歴
  • 2002年 明治東洋医学院専門学校卒業
  • 2011年 長春中医薬大学卒業(中医学士)
  • 2014年 木もれび鍼灸院開業

参考文献

  1. Alanazi AD, Ben Said M, Shater AF, et al. Acaricidal, Larvacidal, and Repellent Activity of Elettaria cardamomum Essential Oil against Hyalomma anatolicum Ticks Infesting Saudi Arabian Cattle. Plants (Basel). 2022;11(9). https://doi.org/10.3390/plants11091221(PubMed)
  2. Souissi M, Azelmat J, Chaieb K, et al. Antibacterial and anti-inflammatory activities of cardamom (Elettaria cardamomum) extracts: Potential therapeutic benefits for periodontal infections. Anaerobe. 2020;61:102089. https://doi.org/10.1016/j.anaerobe.2019.102089(PubMed)
  3. Hoang MP, Seresirikachorn K, Chitsuthipakorn W, et al. Herbal Medicines for Rhinosinusitis: A Systematic Review and Network Meta-analysis. Curr Allergy Asthma Rep. 2023;23(2):93-109. https://doi.org/10.1007/s11882-022-01060-z(PubMed)

大阪の鍼灸院

木もれび鍼灸院

〒563-0033 大阪府池田市住吉1-7-3
パンション明石203号室

阪急宝塚線「石橋阪大前駅」から徒歩12分
大阪国際空港(伊丹空港)から車で約5分
建物前にコインパーキング有

お気軽にご予約・お問合せください 072-761-5589
受付時間
10:00〜17:00(昼休みなし)
定休日
月曜・木曜・日曜・祝日
問い合わせフォーム LINEはこちら