この記事の結論
花粉症に小青竜湯が効くかどうかを、この記事で言い切ることはできません。日本漢方では、水の代謝が滞った「水毒」のタイプの鼻水・目のかゆみに多く使われる薬、と動画で紹介しました。薬の選び方や服用は、医師・薬剤師にご相談ください。
花粉症の鼻水・鼻づまり・目のかゆみがあり、小青竜湯や水毒が気になっている方。鼻づまりや副鼻腔炎の症状が長引く方は、副鼻腔炎の鍼灸治療についてもご覧ください。小青竜湯をそのまま買ってよいか、副作用が心配、という方は、医師・薬剤師にご相談ください。
花粉症に小青竜湯は効くの?
動画で話したこと
日本漢方では、水毒(中医学でいう痰飲)に対して小青竜湯が多く処方され、花粉症にもよく出されると紹介しました。小青竜湯は風邪薬にも使われますが、主に水の代謝を良くするために使われる薬です。水の代謝が良くなることで、花粉症の鼻水や目のかゆみの改善が期待できる、という考え方です。
効果の確かさについて
この記事では、小青竜湯の効果について論文を引用していません。そのため、どのくらいの人に、どの程度の効果があるのかは示せません(未確認)。ここでは、東洋医学の考え方として紹介しています。
効果の感じ方には個人差があります。小青竜湯が合うかどうかは、体質や症状、服用中の薬によって変わります。使うかどうかは、医師や薬剤師と相談して決めてください。
この記事の内容を、確度ごとに整理します。
- 水毒・痰飲という枠組み:東洋医学の考え方です
- 溜まった水が炎症になるという見方:院長の臨床解釈です(未検証)
- ツボの使い方:動画で紹介した、臨床で用いている方法です(経験的示唆)
この記事では、大阪の木もれび鍼灸院・院長 弓削周平(鍼灸師・臨床経験27年)が、動画でお伝えした内容をもとに、水毒と小青竜湯の関係、水の代謝を整えるツボ、鼻づまりのセルフケアを解説します。
水毒ってなに?
水毒は、体の中の水分が偏ったり、滞ったりしている状態を指す漢方の言葉です。水そのものが「毒」という意味ではありません。
動画では、飲んだ水、リンパ液などの体液、鼻水が、しっかり代謝されずにどんどん溜まっていく状態と説明しました。花粉症は春先に多く、ひどい場合は副鼻腔炎や蓄膿になって、秋口まで症状が続く方もいます。
当院の臨床解釈:溜まった水と炎症
ここまでは、水毒の一般的な定義です。ここからは、当院の臨床での見方です。当院では、溜まった水が炎症の状態になると考えています。鼻の粘膜に水が溜まり、そこが炎症を起こした状態が、鼻づまりや副鼻腔炎につながる、という見方です。これは院長の臨床解釈であり、研究で確認された事実ではありません(未検証)。
水毒そのものの定義や、体質別の対策は、こちらで詳しく解説しています。
水毒と痰飲は何が違うの?
動画では、日本漢方の「水毒」に、中医学の「痰飲(たんいん)」が対応すると紹介しました。日本漢方では水毒、中医学では痰飲と表現する、おおよそ対応する考え方です。
どちらも、水の代謝が悪くなり、水が体のどこかに溜まった状態を指します。小青竜湯は、日本漢方では水毒や痰飲に対して多く処方される薬、と動画では紹介しました。
東洋医学では水の代謝をどう考えるの?
東洋医学では、水の代謝を五臓(ごぞう)のうち、脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)の働きで考えます。五臓は、解剖学の臓器とは別の、体の働きで捉える考え方です。
- 脾:水を運び、余分な水を体から出すことを助ける。動画では、陰陵泉を脾経のツボとして紹介しました
- 肺:水を全身に巡らせ、下へ降ろす
- 腎:水を排出する
この三つのどこかの働きが落ちると、水が溜まりやすくなる、と考えます。動画では脾の話が中心でした。肺と腎は、東洋医学の一般的な整理として補足しています。
小青竜湯はどんな薬?お腹の見方(腹証)とは?
小青竜湯は、風邪薬にも使われますが、主に水の代謝を良くするために使われる薬です。日本漢方では、お腹の状態から体質を見る「腹証(ふくしょう)」を重視します。
動画では、お腹をゆすったときにポチャポチャと音がする状態を紹介しました。水がしっかり下へ排泄されず、水の代謝が悪いときに見られる所見で、こうした腹証には小青竜湯、というのが基本的な考え方です。
お腹のポチャポチャ音と関連する所見については、【胃内停水】振水音とは?腹診での見方と3つの原因・漢方との関係で詳しく解説しています。ただし、お腹の音だけで水毒かどうかを判断することはできません。小青竜湯を使うかどうかは、医師・薬剤師にご相談ください。
水の代謝を整えるツボは?(水分・陰陵泉)
動画では、水の代謝を良くするツボとして、水分と陰陵泉の二つを紹介しました。体の根本から水を整えるための組み合わせです。
水分(すいぶん)
場所:おへその指1本分、上
効果:水の代謝を助けることが期待できます。
やり方:手をすり合わせて温め、水分に当てます。お灸をする方法や、ホットのペットボトルをお腹に当てる方法もあります。
陰陵泉(いんりょうせん)
場所:膝の内側。くるぶしから膝へ向かって指でたどっていき、止まるところ
効果:脾経のツボです。脾は水の排出を助ける働きをもつと考えられており、温めたり、刺激したりすることで、体の余分な水分を整えることが期待できます。
やり方:お灸をする、手で擦る、手で触れてマッサージする、のいずれかです。
鼻づまり・副鼻腔炎に使うツボは?(上星・大椎)
水分と陰陵泉が体の根本から水を整えるツボなのに対して、鼻水・鼻づまり・副鼻腔炎には、上星と大椎を使います。動画では、この二つのツボを温めると、鼻がスーッと通りやすくなると紹介しました。
上星(じょうせい)
場所:頭の上。手首の関節の部分を鼻の先端に当て、中指をまっすぐ頭のてっぺんに向けて当てます。中指の先が頭に当たるところが上星です
効果:鼻のつまりや、鼻の粘膜の炎症を和らげることが期待できます。
やり方:お灸のツボです。ドライヤーで温めるか、ホットのペットボトルで温めます。
大椎(だいつい)
場所:頭を前に倒し、首の上から下へ手でたどっていったとき、一番出っ張りが出るところ(首の一番出っ張る骨)
効果:鼻のつまりや、鼻の粘膜の炎症を和らげることが期待できます。
やり方:お灸のツボです。ドライヤーやホットのペットボトルで、しっかり温めます。
動画では身柱と言っていますが、紹介した位置は大椎です。
鼻づまりのセルフケアは、【花粉症】鼻づまりを5分で解消するセルフケア、【副鼻腔炎】耳と鼻のつまりが同時にスッキリ|3分セルフケアもご覧ください。
セルフケアのポイントは?
動画では、根本から水毒体質を整える方法と、鼻の粘膜の炎症を和らげるツボを、使い分けながら行うことを紹介しました。
行い方の流れ
- 水分を、手で温める(またはお灸、ホットのペットボトル)
- 陰陵泉を、お灸、擦る、手を当てる、のいずれかで刺激する
- 鼻づまりが気になるときは、上星と大椎をドライヤーかホットのペットボトルで温める
温めるときの注意
※効果には個人差があります。強く押しすぎず、心地よいと感じる強さで行ってください。痛みや違和感がある場合は中止してください。
セルフケアで改善しない場合は
鼻づまりや鼻水が長引く場合は、副鼻腔炎などほかの原因が隠れていることがあります。発熱、顔の痛み、膿のような鼻水が続く、息苦しさがあるといったときは、耳鼻咽喉科や内科を受診してください。
当院では、鼻の症状について鍼灸でのご相談を受けています。症状ごとの考え方は、副鼻腔炎の鍼灸治療についてで解説しています。花粉症の検査の読み方は、【花粉症】検査の読み方|セルフケア4選をご覧ください。
よくある質問
花粉症に小青竜湯は効きますか?
この記事では「効く」と言い切ることはできません。日本漢方では、水の代謝が滞った水毒のタイプの花粉症に小青竜湯が多く使われると動画で紹介しましたが、この記事では論文を引用しておらず、効果の大きさや確かさは示せません。服用の可否や選び方は、医師・薬剤師にご相談ください。
水毒とは何ですか?
水毒は、体の中の水分が偏ったり、滞ったりしている状態を指す漢方の言葉です。水そのものが毒という意味ではありません。動画では、飲んだ水、リンパ液などの体液、鼻水が十分に代謝されず溜まっていく状態と説明しました。
水毒と痰飲は同じものですか?
動画では、日本漢方の水毒に、中医学の痰飲が対応すると紹介しました。呼び方が違う、おおよそ対応する考え方として捉えてください。
小青竜湯は自分で選んで飲んでもよいですか?
自己判断はおすすめしません。小青竜湯は、体質や症状、服用中の薬によって合う合わないがあります。妊娠中や授乳中の方、持病のある方、ほかの薬を飲んでいる方は、医師・薬剤師にご相談ください。
水毒かどうかは、自分で分かりますか?
動画では、お腹を揺らしたときにポチャポチャと音がすることが、水の代謝が悪い状態の目安のひとつと紹介しました。ただし、これだけで判断することはできません。気になる場合は、医師や漢方に詳しい専門家にご相談ください。
水分や陰陵泉のセルフケアは、妊娠中にしても大丈夫ですか?
妊娠中は、ツボへの刺激やお灸を始める前に、主治医にご相談ください。体調に不安がある場合も同様です。強く押しすぎず、痛みや違和感があるときは中止してください。
上星・大椎を温めるときの注意は?
ドライヤーやホットのペットボトルを使うときは、熱いと感じたらすぐ離してください。同じ場所に当て続けると低温やけどの原因になります。肌が弱い方や、感覚が鈍い部位がある方は特にご注意ください。
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水毒について
花粉症・鼻づまりのセルフケア
症状別ページ
監修
木もれび鍼灸院/ツボ塾 代表
弓削 周平(ゆげ しゅうへい)
- 鍼灸師(はり師・きゅう師)
- 日本東洋医学会会員
- 2002年 明治東洋医学院専門学校卒業
- 2011年 長春中医薬大学卒業(中医学士)
- 2014年 木もれび鍼灸院開業
出典について
この記事は、院長の動画「花粉症と水毒のセルフケア」で話した内容に基づいています。論文・書籍は引用していません。

