この記事の結論
冷え込む夜は、首にタオルを巻いて体を冷やしすぎないようにする工夫が、風邪予防の選択肢の一つになります。動画では、症状がない方は首にタオルを巻く方法、風邪気味の方は背中にタオルを入れる方法、と使い分けて紹介しました。ただし、タオルでの保温が風邪を防ぐことを直接確かめた研究は、今回の調査では確認できていません。
風邪を予防するために、タオル1枚でできることは?
動画で話したこと
タオルの使い方は2通りあり、意味合いが違います。1つ目は、夜寝る前に首へ巻く方法です。体の冷えから免疫力を下げないための工夫で、症状がない方向けです。2つ目は、肌着の下で背中にタオルを敷く方法です。風邪の引き始めと感じる方向けです。
研究で分かっていること
首や背中をタオルで保温することが風邪を減らすかどうかを調べた研究は、今回取得した文献には含まれていませんでした。そのため、この記事では2つの方法を「経験的示唆」として紹介します。
風邪の予防は、タオルだけで完結するものではありません。手洗い・うがい・休養といった基本の対策に、夜の冷えを防ぐ工夫を足す、というくらいの気持ちで取り入れてみてください。
この記事では、大阪の木もれび鍼灸院・院長 弓削周平(鍼灸師・臨床経験27年)が、ツボ塾のショート動画「タオル1枚で風邪予防」の内容を、研究と照らしながら解説します。
首のタオルは、どう巻けばよいですか?
動画で紹介した首のタオルの巻き方
- タオルを二つ折りにして、首にかけます。
- 胸の前で、タオルの両端を交差させます。
- 頭を前に倒したときに、首の後ろで骨がポコッと出るところを探します。
- その骨の位置を中心に、タオルを軽く引いて、首まわりを包みます。
首の後ろで出っ張る骨は、第7頸椎(けいつい)の棘突起(きょくとっき)という部分です。ツボでは大椎(だいつい)と呼ばれる位置にあたります。大椎の探し方や温め方は、【花粉症】小青竜湯は効く?水毒・痰飲との関係とツボのセルフケアでも紹介しています。
タオルは、首を締めつけるためのものではありません。苦しくない、ゆるめの強さで掛けてください。首まわりのセルフケアは、【膝の痛み】首は関係ある?タオルでできる首のセルフケアと研究も参考になります。
なぜ、寝ている間に首を冷やさないほうがよいのですか?
動画で話したこと
首・手首・足首は、血管が体の表面に近いところを通る場所です。秋の終わりから冬にかけて急に冷え込むと、体は一気に冷えます。体が冷えると免疫力が落ちる、と動画では話しました。寝ている間は気づかないうちに、頸動脈(けいどうみゃく)を通じて深部体温が下がり、風邪の症状が出やすくなる、という説明です。
研究で分かっていること
鼻の中の温度は、体の奥よりも低い約33℃です。培養した人の鼻の粘膜の細胞を使った実験で、風邪の原因となるウイルスの一部は、鼻の中の温度である33℃のほうが増えやすく、そのとき体の防御の反応(インターフェロン)が弱くなることが、2024年に報告されています。ただし、これは細胞を使った実験です。実際の人の体で、首や背中を保温すると風邪を引きにくくなるかは、この研究では調べられていません。
つまり、「鼻や気道が冷えると、ウイルスに対する防御が弱まるかもしれない」という考え方には、細胞実験の裏づけがあります(機序的仮説)。一方で、「首のタオルが頸動脈を通じて深部体温を保つ」という流れは、動画で紹介した説明で、今回の調査では確かめられていません(機序的仮説)。「首の保温で風邪を予防する」という使い方は、現時点では経験的示唆の段階です。
動画では、首の保温で深部体温を保てば風邪を予防できる、という流れで説明しました。取得した研究は、鼻の粘膜の細胞を使った温度の実験が中心で、首や背中の保温が風邪を減らすかどうかは調べていませんでした。この点は、研究では確認できていません。
風邪気味のとき、背中にタオルを入れるのはなぜですか?
動画で話したこと
人の体は、体温がそれ以上上がらないように、特に背中から汗をかこうとする、と動画では話しました。汗が蒸発するときには、気化熱で体温が下がります。風邪の引き始めで体温がそれほど高くないのに、汗の蒸発で体温が下がりすぎると、免疫力が落ちて風邪の症状が悪化する、という考え方です。そこで、肌着の下の背中にタオルを入れて汗を吸わせ、症状を悪化させないようにする、という方法を紹介しました。
汗が蒸発するときに体の熱が奪われる点は、確立した生理学です。一方、背中にタオルを入れる方法が風邪の悪化を防ぐかどうかは、研究では確かめられておらず、経験的示唆の段階です。
動画では、風邪の引き始めに、体温が上がりすぎないよう背中から汗をかくと話しました。一般的な生理学では、熱が上がり始めるときは寒気(悪寒)が出て皮膚の血管が縮み、汗は主に熱が下がる時期に出るとされています。引き始めに汗をかくとは限らないため、背中のタオルは、汗をかいたときに肌を冷やしすぎないための工夫として取り入れるのが無理のない使い方です。
タオルを使うときの注意点は?
- 首は締めつけず、ゆるめに掛けます。息苦しさや違和感があれば、すぐに外してください。
- 乳幼児の首にタオルを巻いて寝かせるのは、窒息の恐れがあるため避けてください。
- 背中のタオルが汗で湿ったら、そのままにせず、乾いたものに替えてください。
- 室温や寝具で調整できるときは、そちらも併用してください。
※効果には個人差があります。タオルは風邪の治療の代わりにはなりません。痛みや違和感がある場合は中止してください。
タオルを使っても風邪が心配なときは
高熱が続く、息苦しさや胸の痛みがある、水分がとれない、数日たっても良くならない、といったときは、タオルでの工夫にとどめず、早めに内科などの医療機関を受診してください。
なんとなく冷えやすい、季節の変わり目に体調をくずしやすい、という方は、自律神経の状態もあわせて考えることがあります。自律神経失調症の鍼灸治療についても参考にしてください。一人で抱えなくて大丈夫です。
よくある質問
タオルで首を温めるだけで風邪は予防できますか?
タオルでの保温が風邪を防ぐことを直接確かめた研究は、今回の調査では確認できていません。動画では、冷え込む夜に体を冷やしすぎないための工夫の一つとして紹介しました。手洗い・うがい・休養など、ほかの基本的な対策と組み合わせてください。効果には個人差があります。
首のタオルと背中のタオルは、どちらを使えばよいですか?
動画では、症状がない方は夜に首へ巻くタオル、風邪気味と感じる方は背中に入れるタオル、と使い分けて紹介しました。どちらも、体調や室温に合わせて無理のない範囲で行ってください。
首にタオルを巻くとき、苦しくならないためには?
首を締めつけないよう、二つ折りにしたタオルをゆるめに掛けてください。息苦しさや違和感があるときは、すぐに外して中止してください。
赤ちゃんや高齢の方も、タオルを巻いて寝てよいですか?
乳幼児の首にタオルを巻いて寝かせる方法は、窒息の恐れがあるため行わないでください。高齢の方や、自分でタオルを外せない方も、無理に行わず、室温や寝具で調整してください。
風邪の引き始めに、背中から汗をかくのは本当ですか?
一般的な生理学では、熱が上がり始めるときは寒気(悪寒)が出て、汗は主に熱が下がる時期に出るとされています。動画では、引き始めに背中から汗をかくと紹介しましたが、この点は一般的な説明と異なる可能性があります。
どんなときは病院を受診したほうがよいですか?
高熱が続く、息苦しさや胸の痛みがある、水分がとれない、意識がぼんやりする、数日たっても良くならないといったときは、タオルでの工夫にとどめず、早めに医療機関を受診してください。
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監修
木もれび鍼灸院/ツボ塾 代表
弓削 周平(ゆげ しゅうへい)
- 鍼灸師(はり師・きゅう師)
- 日本東洋医学会会員
- 2002年 明治東洋医学院専門学校卒業
- 2011年 長春中医薬大学卒業(中医学士)
- 2014年 木もれび鍼灸院開業

