【膝の痛み】首は関係ある?タオルでできる首のセルフケアと研究

【膝の痛み】首は関係ある?タオルでできる首のセルフケアと研究 運動器・整形外科

この記事の結論

膝の痛みと首の関係について、動画では「頭の位置が崩れると体が揺れ、膝への負担が大きくなる」と話しました。セルフケアは、タオルを後頭骨の下に当てて斜め上(約60度)に引き上げる首のストレッチです。ただし、首の状態と膝の痛みの関係を直接確かめた研究は、今回の文献検索では確認できませんでした。当院の臨床での見立てにもとづく考え方です。

この記事の対象者
膝が痛くて、足首や股関節を整えても気になる方。これは「膝の痛みシリーズ」の3本目(首編)です。1本目は足首編、2本目は股関節編でした。首のストレッチで首や腕に強い痛み・しびれ・めまいが出る方は行わないでください(詳しくは「やるときの注意点」へ)。

膝の痛みに首は関係あるのか?

動画では、膝の痛みに首は関係していると考えると話しました。首は頭をバランスよく支えているので、頭の位置が崩れると体全体が揺れ、その分、膝への負担が大きくなる、という見立てです。足首や股関節に続いて、いちばん大事なのが首だと考えています。

一方で、研究では、この流れ全体を確かめたものは確認できていません。この記事では、動画で話したことと研究で分かっていることを並べ、タオルを使った首のストレッチのやり方と注意点を、大阪の木もれび鍼灸院・院長 弓削周平(鍼灸師・臨床経験27年)が解説します。頭の位置と上部の首の考え方については、上部頸椎調整の記事でも触れています。膝の痛みは、膝だけを見ていても整いにくいことがあります。ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。

なぜ、首が膝に関係すると考えるのか?

動画で話したこと

首は頭をバランスよく支えています。頭の位置が崩れると、体全体が左右に揺れ、膝への負担が大きくなります。だから、首を健康な状態に保つことが重要だと考えます。

研究で分かっていること

頭が前に出た姿勢(頭部前方位姿勢)の人を、程度で2つに分けて比べた研究があります。姿勢が中等度〜重度の人は、足元や視覚の情報がずれやすい条件で、軽度の人より身体がより揺れ、バランスの得点にも差があったと報告されています。ただし、ある時点で人を比べた研究で、頭の位置が揺れの原因かどうかは分かりません。確度は「経験的示唆」です。

動画との違い
動画では、頭の位置が崩れると体が揺れて膝への負担が大きくなる、という流れを話しました。この研究が示したのは、頭の位置の程度による「揺れ方の違い」までです。膝への負担や膝の痛みとの関係は、抄録に記載がなく、今回検索した範囲でも、膝の痛みを直接調べた文献は確認できませんでした。

タオルを使った首のストレッチは、どうやるのか?

タオルを使った首のストレッチ(概要)

場所:後頭骨の下(頭と首の境目)。

目的:首の緊張をゆるめること(当院の臨床での見立て・経験的示唆)。

やり方:椅子に座り、顎を引いたまま、タオルを斜め上(約60度)に引き上げて10〜20秒キープします。

手順

  1. 椅子に座り、普通のタオルを用意する
  2. 顎を引く
  3. 後頭骨の下(頭と首の境目)にタオルを当てる
  4. 顎を引いたまま、タオルを斜め上(約60度)に引き上げる。真上に引くと、タオルが外れてしまう
  5. 頭から腰までが伸びるイメージで、10〜20秒キープする
顎を引く → 後頭骨の下にタオルを当てる → 斜め上に引き上げて10〜20秒 → 毎日続ける

回数は、毎日続けることが大切だと動画では話しました。首まわりの筋肉の緊張については、胸鎖乳突筋のセルフケアの記事もあわせてご覧ください。

※効果には個人差があります。

動画で話したこと

顎を引いたまま、タオルを斜め上に引き上げ、頭から腰までが伸びるイメージで行います。毎日続けることで、首の緊張がゆるみ、歩くのが楽になっていきます。

研究で分かっていること

10代後半の若い人99名を対象に、首を安定させる運動と、位置感覚を養う訓練を行った研究があります。頭と首の角度が有意に改善し、動いているときのバランスもよくなったと報告されています。一方、立っているときの静的なバランスは、時間とともに改善したものの、運動をしたグループとそうでないグループの間に差はありませんでした。確度は「経験的示唆」です。

動画との違い
研究で行われたのは、首を安定させる運動と位置感覚の訓練で、タオルを使った引き上げのストレッチではありません。対象も若い人です。タオルのストレッチで頭の位置や膝の痛みが変わるかどうかは、確認できていません。

やるときの注意点は?

必ず、顎を引いたまま行ってください。顎が上がった状態で行うと、腰が反ってしまい、腰や脚に負担がかかります。腰に痛みのある方やヘルニアのある方は、特に顎をしっかり引いて行ってください。

次の場合は、中止して医療機関を受診してください。首や腕に強い痛み・しびれが出る、めまいが出る、といった場合です。腰の痛みが強まるときも、行わないでください。

首の緊張がゆるむと、歩くのは楽になるのか?

動画で話したこと

首の緊張がゆるむと、歩くのが楽になります。

研究で分かっていること

頭が前に出た姿勢の人22名と、そうでない人26名の歩き方を、3次元の動作解析で比べた研究があります。歩幅や歩く速さなど、時間と距離に関する指標には、2つのグループで有意な差はありませんでした。それ以外の項目は、今回確認した抄録の範囲では分かりません。確度は「経験的示唆」です。

動画との違い
動画では、首の緊張がゆるむと歩くのが楽になると話しました。研究が調べたのは、頭の位置による歩き方の測定値の比較で、「歩きやすさの感じ方」や、ストレッチの前後での変化ではありません。この研究では、歩幅や速さの指標に差はありませんでした。

膝の痛みは、首だけの問題なのか?

動画では、膝の痛みは膝関節だけの問題ではなく、首・股関節・足首を含む全身のバランスから来ていると話しました。首だけを整えれば十分、という意味ではありません。足首のほぐし方は足首編、お腹をゆるめて股関節を動きやすくする方法は股関節編で解説しています。全体を整える、という考え方が、このシリーズの軸です。

セルフケアで改善しない場合は

膝の腫れや熱感が強い、夜間や安静にしていても痛む、急に強い痛みが出た、膝が急に動かなくなった、といった場合は、整形外科での診察をおすすめします。首のストレッチは、診察や治療の代わりにはなりません。

当院では、首・股関節・足首を含めた全身の動きと筋肉の状態を確かめながら、鍼灸で整えていきます。ひとりで抱えず、お気軽にご相談ください。

膝の痛みの鍼灸について

首や股関節、足首の動きも含めて、膝の状態を見ていきます。気になる点があれば、お問い合わせください。

お問い合わせはこちら

よくある質問

膝の痛みに首は関係ありますか?

動画では、首は頭をバランスよく支えていて、頭の位置が崩れると体全体が揺れ、膝への負担が大きくなると話しました。研究では、頭が前に出た姿勢の程度によって立っているときの揺れ方が違うという報告はありますが、首の状態が膝の痛みに結びつくことを直接確かめた研究は確認できていません。当院の臨床での見立てで、確度は経験的示唆です。

タオルを使った首のストレッチは、どうやって行いますか?

椅子に座り、顎を引きます。普通のタオルを後頭骨の下(頭と首の境目)に当て、顎を引いたまま、タオルを斜め上(約60度)に引き上げます。真上に引くとタオルが外れます。頭から腰までが伸びるイメージで、10〜20秒キープします。毎日続けてください。

顎を引いたまま行うのはなぜですか?

顎が上がった状態で行うと腰が反り、腰や脚に負担がかかるためです。腰に痛みのある方やヘルニアのある方は、特に顎をしっかり引いて行ってください。

首のストレッチで歩くのが楽になることは、研究で確かめられていますか?

確かめた研究は確認できていません。頭が前に出た姿勢の人と、そうでない人の歩き方を比べた研究では、歩幅や歩行速度などに有意な差はありませんでした。歩きやすさの感じ方は調べられておらず、動画で話した内容は当院の臨床での経験です。効果には個人差があります。

首のストレッチを避けたほうがいい人はいますか?

首や腕に強い痛み、しびれ、めまいが出る場合は、中止して医療機関を受診してください。腰に痛みのある方やヘルニアのある方は、顎を引いて無理のない範囲で行い、症状が強まるときは行わないでください。

膝の痛みは、首だけ整えればいいのですか?

動画では、膝の痛みは膝関節だけの問題ではなく、首・股関節・足首を含む全身のバランスから来ていると話しました。首だけで整えるのではなく、シリーズ1本目の足首編、2本目の股関節編とあわせて全体を見ていくことが大切です。

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監修

木もれび鍼灸院/ツボ塾 代表

弓削 周平(ゆげ しゅうへい)

保有資格
  • 鍼灸師(はり師・きゅう師)
  • 日本東洋医学会会員
経歴
  • 2002年 明治東洋医学院専門学校卒業
  • 2011年 長春中医薬大学卒業(中医学士)
  • 2014年 木もれび鍼灸院開業

参考文献

  1. Pirayeh N, Heidary Z, Mehravar M, et al. Sensory Organization and Postural Control Strategies in Individuals With Mild and Moderate-to-Severe Forward Head Posture: A Comparative Study. J Manipulative Physiol Ther. 2023;46(4):212-219. DOI / PubMed
  2. Özalp M, Talu B, Kayabinar E. Assessment of the effects of cervical stabilization exercises and proprioception training on balance and posture in individuals with forward head posture. BMC Musculoskelet Disord. 2025;26(1):1077. DOI / PubMed
  3. Lin G, Zhao X, Tao Z, et al. Gait biomechanics and postural adaptations in forward head posture: a comparative cross-sectional study. BMC Musculoskelet Disord. 2025;26(1):754. DOI / PubMed

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