眼圧正常なのに緑内障が進む|フラマー症候群を漢方で体質から改善する方法

眼圧正常なのに緑内障が進む|フラマー症候群を漢方で体質から改善する方法 未分類

こんなお悩みありませんか?

「緑内障と診断されたけど、眼圧は正常と言われた」「点眼薬をずっと使っているのに視野がどんどん狭くなる」——そんな不安を抱えていませんか?日本人の緑内障の約7割は眼圧が正常のまま進行する「正常眼圧緑内障」です。眼圧を下げるだけでは改善しにくいこの疾患に、なぜ漢方薬と鍼灸が注目されているのか。体質別のアプローチを詳しくお伝えします。

動画解説

今回の動画では、正常眼圧緑内障の背景にある「フラマー症候群」という血流の問題と、東洋医学の弁証論治による4つの体質パターン別の漢方薬・ツボについて、鍼灸師歴25年の院長・弓削周平が詳しく解説しています。以下の記事では、動画の内容をさらに掘り下げてお届けします。

なぜ眼圧が正常なのに緑内障が進むのか?その根本原因

緑内障というと「眼圧が高い病気」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、日本人の緑内障患者400万人のうち約7割は、眼圧が統計的な正常範囲内にもかかわらず視野が欠けていく「正常眼圧緑内障」です。点眼薬のほとんどは眼圧を下げる薬であるため、もともと眼圧が正常な方には効果が限定的になりがちです。

現代医学から見た原因——フラマー症候群と眼血流

近年の研究で、正常眼圧緑内障の背景に「フラマー症候群」と呼ばれる体質的な血管調節の問題があることが明らかになってきました。フラマー症候群は「一次性血管調節障害」と定義され、血管が環境の変化に対して正常に収縮・拡張できない状態です。

正常であれば、血圧が下がっても目の血管は自動的に拡張して血流を維持します(自動調節能)。しかしフラマー症候群ではこの調節能が壊れており、視神経が慢性的に血流不足(虚血)の状態にさらされます。2023年の温州市での142名の前向きコホート研究では、中医学的に「陽虚」体質と診断された患者は視野進行リスクが4.65倍高いと報告されています。

  • 眼灌流圧(OPP)は平均動脈圧と眼圧の差で決まるため、低血圧は直接的に視神経への血流低下を招く
  • フラマー症候群の主な特徴は冷え性、低血圧、片頭痛、完璧主義で、女性・痩せ型に多い
  • カルシウム拮抗薬など西洋医学の血管拡張薬は全身血圧をさらに下げてしまうリスクがある

東洋医学から見た根本原因——弁証論治で体質を読み解く

東洋医学では、フラマー症候群の症状群を「血虚(血の不足)」「気虚(エネルギーの不足)」「陽虚(体を温める力の不足)」「気滞(気の巡りの停滞)」といった体質の偏りとして捉えます。弁証論治とは、この体質を診断し、それに合った治療法を導き出す東洋医学独自のプロセスです。

  • 血虚血瘀:血が不足し、さらに巡りが滞ることで末梢の血管まで血が届かない状態
  • 気虚下陥:全身のエネルギーが不足し、頭部や眼に栄養を送り上げる力が弱まった状態
  • 脾腎陽虚:体を温める根本的な力が弱り、水分代謝も滞った状態
  • 肝鬱気滞:ストレスにより気の巡りが停滞し、血管の緊張が解けにくい状態

正常眼圧緑内障に対する体質別アプローチ

フラマー症候群を背景とする正常眼圧緑内障に対して、弁証論治による4つの体質パターンと、それぞれに対応する漢方薬・ツボをご紹介します。

今すぐできるセルフケア——内関穴と公孫穴

最も多い血虚血瘀型に対応するツボ

フラマー症候群の方の大多数は血虚血瘀型に該当する可能性が高く、このタイプに対応するセルフケアのツボとして内関と公孫があります。

  • 内関(ないかん):手首の内側、手首のしわから指3本分ひじ寄りの中央。心包経に属し、血の巡りを改善し、自律神経を整える作用があります。1回30秒〜1分、心地よい圧で押してください。
  • 公孫(こうそん):足の内側、親指の付け根の骨の後方のくぼみ。脾経に属し、消化機能を高めて血を作る力を補います。内関と組み合わせることで気血の巡りを全身的に改善します。

生活習慣の見直し

  • 冷えの改善:首・手首・足首の「3つの首」を温め、冷たい飲食物を控える
  • 血圧の安定:朝起きたらすぐに立ち上がらず、布団の中で軽いストレッチをしてから起床する
  • ストレス管理:完璧主義の傾向がある方は「7割でOK」と意識的にハードルを下げる
  • 睡眠環境:夜間の過度な血圧低下を防ぐため、足元を温かくして就寝する

体質別の漢方薬と鍼灸治療

①血虚血瘀型——当帰芍薬散

最も頻度が高いパターンです。女性・痩せ型・貧血傾向・手足の冷え・月経不順がある方に該当します。東北大学病院の菊池らの研究(EPMA Journal, 2017)では、当帰芍薬散を33週間投与した正常眼圧緑内障の患者さんで、視神経乳頭の血流が改善し、視野欠損の進行が停止しました。血圧に変動を与えることなく眼血流だけを改善する特性が確認されており、低血圧を伴う方にとって理想的な処方です。

②気虚下陥型——補中益気湯

立ちくらみがひどい、疲れやすい、声が小さくなるといった症状が前面に出る方に該当します。240例のRCTでは、補中益気湯と百会穴への鍼を併用した群で有効率95.5%と、方剤単独の76.7%を大きく上回る結果が得られています。気を頭部に引き上げる「昇陽挙陥」の作用で、眼部への血流を改善します。

③脾腎陽虚水滞型——真武湯

極度の冷え・むくみ・下痢をしやすい・頭が重くふわふわするという方に該当します。附子(トリカブト由来の生薬)を含み、腎陽を温めて水分代謝を整える強力な処方です。強心作用があり低血圧そのものに作用しますが、医師の処方が前提となります。

④肝鬱気滞型——加味逍遙散

完璧主義・ストレスが強い・イライラしやすい・肩こり・不眠がある方に該当します。肝気の停滞を解消し、気血の巡りを回復させます。三陰交のツボを併用することで効果が高まります。

鍼灸治療の特徴

  • 弁証論治に基づき、体質に合わせたオーダーメイドのツボ選択を行います
  • 漢方薬との併用で、気血の巡りの改善効果を相乗的に高めることが期待できます
  • 鍼治療は自律神経系にも作用し、フラマー症候群に伴う血管の過緊張を和らげる可能性があります

治療の流れ

  1. 詳細な問診と弁証論治による体質診断(4パターンのどれに該当するかを判定)
  2. 脈診・腹診・舌診による身体の状態把握
  3. 体質に合わせた漢方薬の選定と鍼灸治療プランの作成
  4. 眼科の点眼薬と併用しながら、定期的な経過観察

患者様からよくいただくご質問

Q1: 漢方だけで緑内障の進行を止められますか?
A: 現段階で「漢方だけで止まる」と断言することはできません。眼科で処方されている点眼薬は必ず継続してください。漢方薬は「眼血流を整え、フラマー症候群の体質を改善する補助的な治療」として位置づけるのが現実的です。眼圧管理と体質改善の両輪で取り組むことが大切です。

Q2: 当帰芍薬散はドラッグストアで買えますか?
A: ツムラやクラシエのエキス剤がドラッグストアでも購入できます。ただし、4つの体質パターンのうちどれに該当するかの見極めが重要です。体質に合わない漢方薬を服用すると効果がないだけでなく、逆効果になることもあります。できれば漢方外来や鍼灸院で弁証を受けてから使うことをお勧めします。

Q3: 鍼灸と漢方を併用した方がいいですか?
A: はい。240例のRCTで、補中益気湯と百会穴への鍼を併用した群は有効率95.5%と、方剤単独の76.7%を大きく上回る結果が報告されています。漢方薬で体の中から体質を整え、鍼灸で気血の巡りを直接的に促すことで、相乗的な改善が期待できます。

まとめ:正常眼圧緑内障は体質から変えられる

今回の内容のポイントを整理します。

  • 正常眼圧緑内障の背景にはフラマー症候群(血管調節障害)があり、眼圧ではなく眼血流の問題が本質
  • 東洋医学の弁証論治で血虚血瘀・気虚下陥・脾腎陽虚・肝鬱気滞の4つの体質に分類し、それぞれに合った漢方薬を選択することが重要
  • 当帰芍薬散は東北大学の臨床研究で眼血流改善のエビデンスがあり、血圧を変えない安全性も確認されている
  • 漢方薬と鍼灸の併用で、より高い改善効果が期待できる

眼科の点眼薬による眼圧管理はそのまま継続しつつ、体質を整える東洋医学的なアプローチを加えることで、正常眼圧緑内障の進行を抑える可能性が広がります。まずはフラマー症候群の4つの特徴(冷え性・低血圧・片頭痛・完璧主義)に自分がいくつ当てはまるか、確認してみてください。

木もれび鍼灸院でのご相談・治療をお考えの方へ

当院では、一人ひとりの体質や症状に合わせたオーダーメイド治療を行っています。正常眼圧緑内障でお悩みの方、フラマー症候群の体質改善を目指したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

【こんな方におすすめ】

  • 正常眼圧緑内障と診断され、点眼薬だけでは不安な方
  • 冷え性・低血圧・片頭痛があり、体質から改善したい方
  • 漢方薬を試したいが自分の体質に合うものがわからない方
  • セルフケアのツボや生活習慣の改善方法を知りたい方

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※初回の方には詳しい問診とカウンセリングを行います
※症状や体質について気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください

参考文献

本記事の医学的根拠として参照した研究論文・文献を記載します。

  1. Kikuchi A, Shiga Y, Takayama S, et al. Traditional medicine as a potential treatment for Flammer syndrome. EPMA Journal. 2017;8:171–175. リンク
  2. Takayama S, et al. The traditional Kampo medicine tokishakuyakusan increases ocular blood flow in healthy subjects. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2014;2014:586857. リンク
  3. Population-based associations between progression of normal tension glaucoma and traditional Chinese medicine constitutional types. BMC Complementary Medicine and Therapies. 2023. リンク
  4. Prinz J, et al. Efficacy of Ginkgo biloba on parameters in glaucoma: A systematic review. PLOS ONE. 2025. リンク
  5. Effect of antioxidants on primary open-angle glaucoma: a systematic review and meta-analysis. 2024. リンク
  6. Ginkgo Biloba Extract in Ophthalmic and Systemic Disease, With a Focus on Normal-Tension Glaucoma. 2020. リンク

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