こんなお悩みありませんか?
「緑内障と診断されたけれど、眼圧は正常と言われた」「点眼薬を続けているのに視野が狭くなっていく気がする」「冷え性がひどくて、手足がいつも冷たい」——正常眼圧緑内障でお悩みではありませんか? 眼圧は正常なのに視野が欠けていく恐怖。その背景には「フラマー症候群」という血管の過敏体質が関わっている可能性があります。
動画解説
今回の動画では、正常眼圧緑内障とフラマー症候群の関係、東洋医学的な読み解き、鍼灸によるアプローチ、そして自分でできるセルフケアについて詳しくお伝えしています。以下の記事で動画の内容をさらに深掘りして解説します。
なぜ眼圧が正常なのに視神経が傷つくのか?
緑内障は「眼圧が高いから起こる病気」と一般的には思われています。しかし、岐阜県多治見市で3,000人以上を対象に行われた多治見スタディによると、日本人の開放隅角緑内障のうち、眼圧が正常範囲内の「正常眼圧緑内障(NTG)」が9割以上を占めていました。欧米では同様の割合が30〜39%程度であるのに対し、日本人は圧倒的にこのタイプが多いのです。
つまり日本人の緑内障の大多数は、眼圧以外の原因——特に視神経への血流障害が深く関わっていると考えられています。
現代医学から見た原因
正常眼圧緑内障の病態で最も注目されているのが、血管の自己調節能の障害です。通常、目の奥の視神経乳頭は、血圧や眼圧が多少変動しても血流を一定に保つ仕組み(自動調節能)で守られています。しかし正常眼圧緑内障の患者さんでは、この調節能が破綻しており、血圧がわずかに下がっただけで視神経への血流がガクッと低下してしまいます。
特に問題となるのが夜間の低血圧です。寝ている間に血圧が過度に下がる「オーバーディッパー」の傾向がある方では、視神経への灌流圧が危険なレベルまで低下します。血流が途絶えて再開するたびに活性酸素が発生し、これが「再灌流傷害」として視神経の細胞をじわじわと死滅させていきます。
ソウル大学校医学部の研究(Park et al., 2017)では、NTG患者246名と健康な対照群1,116名を比較し、NTG群でフラマー症候群の特徴を有意に多く持っていることが確認されています。
- 夜間の低血圧(オーバーディッパー)による視神経の灌流圧低下
- 血管の自己調節能の破綻による虚血と再灌流傷害の繰り返し
- エンドセリン-1(強力な血管収縮物質)の血中濃度の上昇
東洋医学から見た根本原因
フラマー症候群の特徴を東洋医学の視点で読み解くと、複数の「証(しょう)」——身体の状態パターンが重なった像として見えてきます。
- 血瘀(けつお):血管が収縮して血流が滞る状態。フラマー症候群の血管攣縮そのものに対応します。固定的な痛みや末梢の冷えが特徴的です。
- 肝気鬱結(かんきうっけつ):慢性的なストレスにより「肝」の気の巡りが詰まった状態。東洋医学では「目は肝の窓」とされ、完璧主義やストレス過敏という特徴と一致します。
- 血虚(けっきょ):血の絶対量が不足した状態。痩せ型、低血圧、慢性的な貧血傾向があり、視神経を十分に栄養できない状態を反映しています。
- 陽虚(ようきょ):体を温め動かすエネルギーが足りない状態。血を押し出す力が弱く、全身の末梢循環が低下します。
症状改善への具体的なアプローチ
正常眼圧緑内障に対するアプローチの基本は「眼圧を下げる」のではなく「視神経への血流を守る」という発想です。眼圧管理は眼科にお任せし、その上に血流改善という層を重ねることで、視神経がダメージを受けにくい体内環境を作ります。
今すぐできるセルフケア
冷え対策——血管の過剰反応を防ぐ
- 首・手首・足首の「三首」を冷やさない。冬の薄着はもちろん、夏の冷房にも注意
- 寝る前の足湯で末梢血管を穏やかに開かせ、入眠の改善にもつなげる
- BMI22以上を維持する。痩せ型の方はしっかり食べることも重要
血流を守る生活習慣
- 意識的に水を飲む(フラマー症候群の方はエンドセリン-1の影響で喉の渇きを感じにくい)
- じんわり汗をかく程度の有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギング)で血管内皮の機能を改善
- ストレスマネジメント。完璧主義の方が多い体質なので、「ストレスを受けたときに血管が縮みすぎない体」を作ることが目標
専門的な鍼灸治療のアプローチ
韓国韓医学研究院のメタアナリシス(Liu et al., 2020)では、10件のRCT、計426名の緑内障患者を対象に鍼灸の効果を検証し、鍼灸が眼圧下降療法を補完して視野機能の維持に寄与する可能性が報告されています。また、動物実験では足部への鍼刺激により網膜と脈絡膜の血流が有意に上昇し、そのメカニズムとして鍼刺激がeNOS(内皮型一酸化窒素合成酵素)を活性化し、一酸化窒素による血管拡張を誘導することが確認されています。
鍼灸治療の特徴
- 自律神経の調整:交感神経の過緊張を緩め、血管が過剰に縮むのを防ぐ
- 太陽神経叢へのアプローチ:みぞおちの奥にある自律神経の中枢に直接働きかけ、低血圧そのものの改善を目指す
- 腸脳相関の立て直し:腸の状態が悪い方が多いため、腸の機能回復と全身の血流改善を同時に進める
治療の流れ
- 詳細な問診と体質診断(冷え・低血圧・消化器の状態を総合的に把握)
- 脈診・腹診による東洋医学的な状態評価
- 個別の治療プラン作成(自律神経調整・血流改善を中心に)
- 定期的なフォローアップ(眼科の検査結果と連携して経過を確認)
患者様からよくいただくご質問
Q1: 鍼灸で緑内障は治りますか?
A: 鍼灸は緑内障を「治す」ものではありません。眼科での眼圧管理を土台とした上で、血流改善と自律神経の調整を通じて視神経を守る環境づくりをサポートするものです。眼科治療は必ず継続してください。
Q2: どのくらいの頻度で通えばいいですか?
A: 体質や症状の程度によりますが、最初は週1回程度で自律神経のバランスを整え、安定してきたら2週に1回など間隔を空けていくことが多いです。
Q3: フラマー症候群かどうか、どうやって確認できますか?
A: 冷え性、低血圧、偏頭痛、痩せ型、完璧主義、寝つきが悪い、薬が効きすぎるなどの特徴に複数当てはまるかどうかが目安になります。当院ではこれらの体質的な特徴も含めて総合的に評価します。
まとめ:眼圧だけでなく「血流」に目を向ける
正常眼圧緑内障は、日本人の緑内障の大多数を占める深刻な問題です。その背景にあるフラマー症候群は「体質だから仕方ない」ものではなく、「体質だからこそ対策がある」と捉えることが大切です。
- フラマー症候群は病気ではなく体質。冷え性・低血圧・痩せ型に特徴がある
- 夜間の血流低下が視神経をじわじわ傷つけている
- セルフケア(冷え対策・足湯・水分・運動)と鍼灸で血流を守る
- 眼科治療との併用が大前提。両方やるから意味がある
一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。あなたの体質に最適な改善プランをご提案いたします。
木もれび鍼灸院でのご相談・治療をお考えの方へ
当院では、一人ひとりの体質や症状に合わせたオーダーメイド治療を行っています。正常眼圧緑内障でお悩みの方、フラマー症候群の体質改善を目指したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
【こんな方におすすめ】
- 正常眼圧緑内障で視野の進行に不安がある方
- 眼科治療と並行して体質改善に取り組みたい方
- 冷え性・低血圧を根本から改善したい方
- セルフケアの正しい方法を知りたい方
※初回の方には詳しい問診とカウンセリングを行います
※症状や体質について気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください
参考文献
本記事の医学的根拠として参照した研究論文・文献を記載します。
- Park HY, et al. Association between Flammer syndrome and normal tension glaucoma. ソウル大学校医学部. 2017.
- Liu H, et al. Acupuncture for glaucoma: a systematic review and meta-analysis. 韓国韓医学研究院. 2020.
- Flammer J, et al. The impact of ocular blood flow in glaucoma. Progress in Retinal and Eye Research. 2002;21(4):359-393.
- Konieczka K, et al. Flammer syndrome. EPMA Journal. 2014;5(1):11.
- Iwase A, et al. The prevalence of primary open-angle glaucoma in Japanese: the Tajimi Study(多治見スタディ). Ophthalmology. 2004;111(9):1641-1648.
- 鍼刺激によるeNOS活性化・NO放出を介した網膜脈絡膜血流上昇(C57BL/6Jマウス動物実験).
