【変形性膝関節症】膝蓋下脂肪体アプローチで膝の痛みが楽になる

【変形性膝関節症】膝蓋下脂肪体アプローチで膝の痛みが楽になる 運動器・整形外科

こんなお悩みありませんか?

正座ができない、階段の上り下りで膝が痛む……そんなつらさを抱えていませんか?変形性膝関節症と診断され、「軟骨がすり減る一方だから仕方ない」と諦めてしまっている方も多いのではないでしょうか。

動画解説

今回、YouTube「ツボ塾」チャンネルでは、変形性膝関節症でお悩みの方に向けて、ご自宅でできる超簡単なセルフケアを3つご紹介しました。この記事では、動画の内容をさらに詳しく解説していきます。

なぜこの症状が起こるのか?その根本原因

現代医学から見た原因

変形性膝関節症というと「軟骨がすり減る病気」というイメージが強いですが、実は膝の痛みに深く関わっている組織がもう一つあります。それが膝のお皿(膝蓋骨)のすぐ下にある「膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)」という脂肪の組織です。

2025年に発表された病態生理学レビュー(Infrapatellar Fat Pad in Knee Osteoarthritis, MDPI)によると、膝蓋下脂肪体は単なる衝撃吸収材ではなく、炎症に関わる物質を分泌する活動的な組織であることが分かっています。パドヴァ大学のFaveroらの研究(Rheumatology誌, 2017年)では、変形性膝関節症の患者さんの膝蓋下脂肪体は、同じ人の皮下脂肪と比べて炎症性の物質(IL-6、VEGFなど)の分泌が有意に多く、免疫細胞の集まりも多いことが確認されています(PubMed)。

さらに、ハノーファー医科大学のBohnsackらの解剖学的研究(Archives of Orthopaedic and Trauma Surgery誌, 2005年)では、膝蓋下脂肪体の特に膝のお皿に近い側に、痛みを感じる神経終末(侵害受容器)が非常に多く分布していることが示されています(PubMed)。つまり、膝蓋下脂肪体が硬くなり炎症を起こすと、そこがそのまま「膝前部の痛みの発生源」になってしまうのです。

一方で、タスマニア大学のPanらの追跡研究(Annals of the Rheumatic Diseases誌, 2015年)では、この脂肪体の面積が大きく柔らかい状態を保てている方ほど、軟骨のすり減りが進みにくく、膝痛の悪化も抑えられていたと報告されています(PubMed)。つまり膝蓋下脂肪体は「硬く炎症を起こせば痛みの原因」に、「ふわふわとやわらかい状態を保てれば膝を守るクッション」にもなる、二面性を持った組織だと考えられます。

  • 膝の角度(大腿骨と脛骨のなす角度)のズレによる構造的な負担
  • 膝蓋下脂肪体の硬化・線維化による衝撃吸収能の低下
  • 加齢や繰り返しの負荷による組織の炎症

東洋医学から見た根本原因

東洋医学では、膝関節の不調は「気血の巡りの滞り」として捉えます。局所の気血の流れが悪くなることで組織に栄養や水分が行き渡らず、硬さやこわばりが生まれると考えます。膝蓋下脂肪体に適切な刺激を与えて血流を促すという今回のセルフケアの考え方は、この東洋医学的な発想とも合致しています。

症状改善への具体的なアプローチ

今すぐできるセルフケア

①膝の角度を整える

座った状態で膝はそのままに、足首だけを内側に軽くひねるイメージで曲げ伸ばしを行います。力いっぱいではなく、あくまでイメージ程度の軽さで、左右10回ずつ。だいたい1週間ほど続けると変化を感じやすくなります。

②膝蓋下脂肪体をやわらかくする

膝のお皿と脛骨の間にあるやわらかい部分に指を軽く当て、なるべく弱い力で押さえながら曲げ伸ばしを繰り返します。左右30回ずつ、毎日続けることで血流や水分が組織に行き渡り、硬さがほぐれていきます。痛みがある程度落ち着いたら中断し、目安として1週間〜3ヶ月ほど継続するとよいでしょう。

③浅いスクワット

10〜30度程度の浅い角度で、膝を伸ばし切ることを意識しながら曲げ伸ばしを30回。深く曲げる必要はなく、「伸ばし切る」ことが重要なポイントです。

専門的な鍼灸治療のアプローチ

鍼灸治療の特徴/治療の流れ

木もれび鍼灸院では、問診で膝の状態や生活習慣を丁寧に伺ったうえで、膝の角度や膝蓋下脂肪体の硬さを確認し、東洋医学的な気血のバランスと現代医学的な視点を組み合わせた治療プランをご提案しています。

患者様からよくいただくご質問

Q1. セルフケアはどのくらいの期間続ければいいですか?
A. 痛みが落ち着くまでの目安として1週間〜3ヶ月程度です。痛みがなくなったら無理に続けず中断してください。

Q2. 力を入れてやったほうが早く効果が出ますか?
A. いいえ、力いっぱい行うとかえって悪化する可能性があります。イメージ程度の軽い力で行うことがポイントです。

Q3. 手術を勧められていますが、セルフケアだけで大丈夫でしょうか?
A. 症状の程度によって適切な対応は異なります。強い痛みや急激な悪化がある場合は、まず医療機関にご相談ください。

まとめ:健やかな毎日を取り戻すために

変形性膝関節症の痛みは、軟骨のすり減りだけでなく、膝の角度のズレや膝蓋下脂肪体の硬さが大きく関わっています。今日ご紹介した3つのセルフケアを、無理のない範囲で続けてみてください。

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参考文献

  1. Favero M, et al. Infrapatellar fat pad features in osteoarthritis: a histopathological and molecular study. Rheumatology (Oxford). 2017;56(10):1784–1793. PubMed
  2. Bohnsack M, et al. Distribution of substance-P nerves inside the infrapatellar fat pad and the adjacent synovial tissue: a neurohistological approach to anterior knee pain syndrome. Arch Orthop Trauma Surg. 2005;125(9):592–597. PubMed
  3. Pan F, et al. A longitudinal study of the association between infrapatellar fat pad maximal area and changes in knee symptoms and structure in older adults. Ann Rheum Dis. 2015;74(10):1818–1824. PubMed