【機能性ディスペプシア】薬が効かない胃の不調に|横隔膜への鍼灸アプローチ

【機能性ディスペプシア】薬が効かない胃の不調に|横隔膜への鍼灸アプローチ 消化器

こんなお悩みありませんか?

食べるとすぐにお腹がいっぱいになる、胃もたれや膨満感が続く、みぞおちが痛む――胃カメラを受けても「異常なし」と言われ、対処法が見つからないままお困りではありませんか?それは「機能性ディスペプシア」と呼ばれる、検査では異常が出にくい機能的な症状かもしれません。

動画解説

今回の動画では、機能性ディスペプシアの原因を西洋医学・東洋医学の両面から解説し、木もれび鍼灸院が考える横隔膜と呼吸の関係、当院独自の鍼灸アプローチについてお話ししています。この記事では、動画の内容をさらに詳しく解説していきます。

なぜこの症状が起こるのか?その根本原因

現代医学から見た原因

機能性ディスペプシアは、胃カメラで見ても炎症やポリープなどの器質的な異常が見つからないにもかかわらず、胃の不快感を強く感じてしまう機能的な症状です。世界的には成人の10〜20%が悩んでいるとされ、胃の症状で病院を受診する方の約8割がこの症状を抱えているといわれています。

  • 内臓が過敏になり、わずかな胃酸の匂いにも敏感に反応してしまう
  • 胃の運動そのものが弱く、食べ物が胃に停滞して消化が進みにくい
  • SIBO(小腸内細菌増殖症)やピロリ菌など、腸内細菌叢の乱れによるガス発生
  • 好酸球性十二指腸炎のような免疫疾患が背景にある場合
  • ストレス・不安・抑うつなどの心理社会的な要因
  • 女性、喫煙、過去の胃腸感染症の既往などのリスク因子

治療としては胃酸を抑えるPPIや消化管運動促進薬が処方されますが、機能的な症状であるため効きにくいケースが多く、最終的に抗不安薬が使われることもあります。低FODMAP食が検索上位に出てくることもありますが、当院では日本人への効果は限定的だと考えています。

東洋医学から見た根本原因

東洋医学では、機能性ディスペプシアという西洋医学的な診断名に対し、「証(しょう)」という体質そのものを表す考え方があります。ストレス性であれば肝鬱気滞・肝胃不和、胃腸機能の低下であれば脾虚気滞・脾失健運というように、症状ではなく体質全体を見て証を判断します。機能性ディスペプシアに関わる代表的な証には、肝胃不和・脾虚気滞・寒熱錯雑・脾胃湿熱の4つがあり、それぞれ柴胡疏肝散・香砂六君子湯・半夏瀉心湯・連朴飲といった漢方薬が対応します。ただし製剤の漢方薬は一つの枠に対して作られるため、本来は漢方薬局や専門外来で体質に合わせて微調整してもらうのが望ましいとされています。

症状改善への具体的なアプローチ

今すぐできるセルフケア

呼吸を意識する

東洋医学的には、呼吸が浅くなると緊張状態が続き、首や肩の筋肉(斜角筋)を使う「肩呼吸」になりやすいとされています。まずは深くゆっくりとした呼吸を意識することが、胃の不調のセルフケアの第一歩になります。

生活習慣の見直し

よく噛んで食べる、軽い運動を取り入れる、カフェインや刺激物を控えるといった習慣も、負担の少ない範囲で試す価値があります。

専門的な鍼灸治療のアプローチ

木もれび鍼灸院では、機能性ディスペプシアの背景に「呼吸の浅さ」があると考えています。緊張状態が続くと肩呼吸になり、首まわりの斜角筋が過緊張します。この斜角筋の近くを横隔神経(横隔膜の運動を支配する神経)が通っているため、圧迫や絞扼によって横隔膜の緊張が強まると考えられます。

横隔膜は、食道と胃の境目(噴門・下部食道括約筋)を構成する重要な部位でもあります。ここの緊張が強くなると、本来げっぷとして無意識に排出されるはずの空気が出しにくくなり、それが機能性ディスペプシアのお腹の張りの正体ではないかと当院では考えています。

そこで木もれび鍼灸院では、横隔膜そのものに直接アプローチする鍼灸施術を行い、横隔膜の緊張を緩めていくという当院独自のやり方を採用しています。特に受験期の学生さんや、新しい環境に馴染もうとしている新入社員の方など、環境の変化や体の成長期に発症しやすい傾向があると感じています。

研究における位置づけについて
横隔膜(脚部横隔膜)が食道と胃の境目の逆流防止機構を担っていること自体は、高解像度食道内圧検査(HRM)によって医学的に確立された知見です。一方で、呼吸法トレーニングが機能性ディスペプシアの症状を改善させたとする研究報告もありますが、その改善は横隔膜そのものの筋力強化というより、迷走神経を介した自律神経の調整によるものと考えられており、横隔膜機能不全がFDの根本原因であると断定するにはさらなる検証が必要な段階です。当院の施術は、こうした呼吸と自律神経、消化管機能のつながりを踏まえたうえでのアプローチとしてご理解ください。

治療の流れ

問診で症状や生活背景を詳しくお伺いした後、脈診・腹診で体質(証)を見極め、横隔膜への施術を含めた治療プランをご提案します。その後の経過も丁寧にフォローアップしていきます。

患者様からよくいただくご質問

Q1. 病院で異常なしと言われましたが、鍼灸で改善する可能性はありますか?
胃カメラで異常がないと言われる機能性ディスペプシアこそ、当院が専門としている領域です。横隔膜や自律神経へのアプローチによって、症状の改善が期待できるケースがあります。

Q2. どれくらいの期間で変化を感じられますか?
体質や症状の程度によって個人差があります。まずは実際に施術を受けていただき、体の反応を見ながらプランを調整していきます。

Q3. 漢方薬と鍼灸、どちらを受ければいいですか?
どちらか一方ではなく、体質(証)を踏まえて併用することも可能です。気になる方は専門の漢方外来との連携も含めてご相談ください。

まとめ:健やかな毎日を取り戻すために

機能性ディスペプシアは、検査では見つかりにくいものの、多くの方が悩んでいる身近な症状です。ストレスだけでなく、環境の変化や体の成長、そして呼吸の浅さによる横隔膜の緊張という視点を持つことで、これまで見えなかった原因に気づけることがあります。

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参考文献

  1. Haug TT, et al. Breathing exercises with vagal biofeedback may benefit patients with functional dyspepsia. Scand J Gastroenterol. 2007. リンク
  2. Mittal RK, et al. 脚部横隔膜と食道胃接合部(EGJ)の二重括約機構に関する生理学的研究(高解像度食道内圧検査による知見の総括)。