【ぎっくり腰】予防のカギは運動の継続|腸腰筋の足上げセルフケア

ぎっくり腰で腰を押さえる男性|ぎっくり腰を繰り返さないために(大阪の鍼灸院・木もれび鍼灸院) 運動器・整形外科

この記事の結論

ぎっくり腰の再発予防として研究で支持されているのは、運動を習慣にして続けることです。治療を終えたあとも運動プログラムを続けた人では、1年以内の再発がおよそ半分に減ったと報告されています[PMID:20091596]。当院ではそのうえで、腸腰筋(ちょうようきん)を働かせる「足上げセルフケア」を臨床経験に基づく方法としておすすめしています。

この記事の対象者
年に何度もぎっくり腰(急性腰痛)を繰り返す方、腰痛が落ち着いたあと再発を防ぎたい方に向けた記事です。いま強い痛みがある方、足のしびれや力の入りにくさ、尿や便が出にくいなどの症状がある方は、セルフケアより先に整形外科などの医療機関を受診してください。

ぎっくり腰を予防するには何をすればいい?

再発予防の基本:運動を続ける

何をするか:歩く・体操をするなど、自分が続けられる運動を毎日の習慣にします。特定の種目がほかより優れるという根拠は見つかっていません[PMID:35946845]。

研究でわかっていること:治療後に運動プログラムを続けた人では、1年時点の再発率がおよそ半分(率比0.50)でした(中等度の質の根拠)[PMID:20091596]。

当院からの提案:運動の習慣に、腸腰筋を働かせる「足上げセルフケア」を加えます(臨床経験に基づく方法)。

腰痛の再発予防については、研究によって結果が分かれる点も正直にお伝えします。70本のシステマティックレビューをまとめた最近の報告では、運動や余暇の身体活動に再発を減らす効果があるものの、その効果は「小さい」とされ、根拠の確かさは低〜中等度と評価されています。重い有害事象は報告されていません[PMID:40180212]。一方で、運動と教育を組み合わせても、教育用の冊子だけの場合と再発率に差がなかった試験もあります[PMID:33789433][PMID:32709590]。

つまり、運動は「やれば必ず防げる」ものではありません。それでも、安全に取り組めて、再発を減らす可能性が報告されている数少ない方法です。だからこそ、無理なく続けられる形を見つけることが大切だと考えています。

この記事では、大阪の木もれび鍼灸院・院長 弓削周平(鍼灸師・臨床経験27年)が、ぎっくり腰を繰り返さないための考え方と、当院で指導している腸腰筋の足上げセルフケアを解説します。

ぎっくり腰はなぜ繰り返すのか?

腰痛は、もともと繰り返しやすい症状です。急性の腰痛では、1年以内に約4割が再発または慢性化するとまとめた総説があります[PMID:35946845]。腰痛から回復したばかりの人を追跡した試験でも、冊子だけを受け取ったグループの57%に再発が見られました[PMID:33789433]。

では、なぜ繰り返すのか。研究では原因が一つに絞られているわけではありません。当院では、年に何度もぎっくり腰になる方の身体を診ていると、腸腰筋がうまく働いていないという共通点を感じることが多くあります。痛みが引いたあとも、この状態が残っていることが一因ではないかと考えています(経験的示唆)。

腸腰筋とぎっくり腰はどう関係するのか?

腸腰筋とはどんな筋肉?

腸腰筋は、背骨の腰の部分から始まる大腰筋(だいようきん)と、骨盤の内側から始まる腸骨筋(ちょうこつきん)を合わせた呼び名です。どちらも股関節の前を通って太ももの骨につながり、太ももを持ち上げる(股関節を曲げる)主な筋肉として働きます(確立した解剖学・生理学)。

「筋力が落ちた」のではなく「働いていない」

腰痛の方は「筋肉が弱っている」と言われることがよくあります。しかし当院では、腸腰筋そのものの筋力はそれほど落ちておらず、脳が「足を出そう」と指令を出しても、腸腰筋がその指令をうまく受け取れていない状態(機能不全)が問題だと考えています。これは臨床経験に基づく機序的仮説で、今回調べた範囲では、これを直接確かめた研究は見つかりませんでした。

膝が大転子より高い位置で、腸腰筋が働く

太ももの外側からお尻のほうへ触っていくと、ぽっこりと骨が出っ張った部分があります。これが大転子(だいてんし)、太ももの骨の付け根の外側にある出っ張りです。当院では、膝がこの大転子よりも高い位置に来ると腸腰筋が働きやすくなると考えています。逆に、膝を上げない姿勢ばかりで生活していると、腸腰筋は「眠った」状態になり、それが毎日続くことでぎっくり腰や重い腰痛につながると考えています。

膝を上げない生活が続く → 腸腰筋が働かない状態になる → 腰に負担が集まる → ぎっくり腰を繰り返す

この流れと「大転子ルール」は、どちらも当院の臨床経験に基づく考え(経験的示唆・機序的仮説)です。研究で確かめられたものではありません。若いスポーツ選手を追跡した研究では、腸腰筋の柔軟性と腰痛の発生には関連が見られなかったと報告されています[PMID:29883001]。また、足上げセルフケアそのものの効果を調べた研究もまだありません。

腸腰筋の足上げセルフケアのやり方は?

弓削流・腸腰筋の足上げセルフケア

  1. 椅子・ベッド・ソファなど、安定した台を用意します。
  2. 片足を台に乗せ、膝が大転子より高い位置になるようにします。
  3. 乗せた足の膝に肘をつきます。
  4. そのまま上体を前かがみにし、30秒から1分ほど保ちます。
  5. 足を替えて、左右とも行います。

どのくらいの頻度でやればいい?

1日何回、何セットという決まりはありません。3秒ごとに繰り返すといった細かい決まりも不要です。時間の許す範囲で、暇を見つけて何度でも行ってください。大切なのは回数よりも、毎日続けることです。

参考までに、慢性腰痛の方を追跡した観察研究では、治療施設での運動療法を受ける頻度が週1.45回より少なかった人で再発のリスクが高かったと報告されています[PMID:33749637]。足上げとは別の運動を調べた研究ですが、「続ける頻度」が再発と関わる可能性を示しています。

臨床では、続けているうちに歩幅が広くなった、階段を上るのが楽になったという声をいただくことがあります。効果には個人差があります。

行うときの注意点

足を乗せる台は、ぐらつかない安定したものを選んでください。足を上げたときに腰やお尻、足に痛みが出る場合は中止してください。ぎっくり腰の最中など、痛みが強い時期には行わないでください。

※効果には個人差があります。痛みや違和感がある場合は中止してください。

コルセットはぎっくり腰の予防になる?

コルセット(腰痛ベルト)で再発を防げるかを確かめた質の高い研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。

参考になるのは、コルセットを着けている慢性腰痛の人を12か月追跡した国内の研究です。コルセットをやめた人では痛みの指標が下がり、着け続けた人では腰の深いところにある多裂筋(たれつきん)の断面が小さくなっていたと報告されています[CRID:1390307136773602176]。観察研究なので「コルセットのせいで筋肉が細くなった」とまでは言えませんが、予防のために長く着け続ける理由は見当たりません。

当院では、痛みの強い時期に一時的に使うことは否定しませんが、予防の中心は運動を続けることだとお伝えしています。

セルフケアで改善しない場合は

セルフケアを続けてもぎっくり腰を繰り返す場合は、一人で抱えなくて大丈夫です。ただし、強い痛みが続く、足にしびれや力の入りにくさがある、尿や便が出にくい、発熱を伴う、安静にしていても痛みが引かないといった場合は、セルフケアをせずに整形外科などの医療機関を受診してください。

医療機関で重い病気がないことを確認したうえで、それでも繰り返す腰痛にお困りの方には、当院では腸腰筋への刺鍼(ドライニードル)などで身体の状態を整える施術を行っています。

繰り返す腰痛のご相談

ぎっくり腰を何度も繰り返してお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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よくある質問

ぎっくり腰はなぜ何度も繰り返すのですか?

腰痛はもともと再発しやすく、急性の腰痛では1年以内に約4割が再発または慢性化するとまとめた総説があります[PMID:35946845]。当院では、痛みが引いたあとも腸腰筋がうまく働かない状態が残り、腰に負担がかかりやすくなっていることが一因と考えています(臨床経験に基づく考えで、研究で確かめられたものではありません)。

ぎっくり腰の予防に効く運動はありますか?

特定の種目がほかより優れるという根拠は見つかっていません[PMID:35946845]。研究で支持されているのは、種目よりも運動を続けることです。治療後も運動を続けた人で1年以内の再発が減ったという報告[PMID:20091596]や、ウォーキングと教育で再発までの期間が延びたという報告[PMID:38908392]があります。歩く、体操をするなど、続けやすい運動を選んでください。

コルセットはぎっくり腰の予防になりますか?

コルセットで再発を防げるかを確かめた質の高い研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。慢性腰痛の人を対象にした国内の研究では、コルセットをやめた人で痛みの指標が下がり、続けた人で腰の深い筋肉(多裂筋)が細くなっていたと報告されています[CRID:1390307136773602176]。痛みの強い時期に一時的に使うのはよいとしても、予防のために長く着け続けることはおすすめしていません。

腸腰筋とぎっくり腰はどう関係していますか?

腸腰筋は背骨や骨盤から太ももの骨につながり、太ももを持ち上げる主な筋肉です。当院では、繰り返すぎっくり腰の背景に、筋力の低下よりも腸腰筋がうまく働かない状態(機能不全)があると考えています。これは臨床経験に基づく仮説で、研究で確かめられたものではありません。腸腰筋の柔軟性と腰痛の発生には関連がなかったという研究もあります[PMID:29883001]。

足上げは1日何回やればいいですか?

回数やセット数の決まりはありません。1回30秒から1分ほど、左右とも行い、1日のうち時間を見つけて何度でも行ってください。決まった回数をこなすことよりも、毎日の生活の中で続けることを大切にしています。

ぎっくり腰の最中や、痛みが強いときにやってもいいですか?

足を上げると痛みが強くなる場合は行わないでください。足上げは、痛みが落ち着いてから再発を防ぐために行うものです。強い痛みが続く、足にしびれや力の入りにくさがある、尿や便が出にくいといった場合は、セルフケアをせずに整形外科などの医療機関を受診してください。

妊娠中でも足上げをしてよいですか?

妊娠中は、前かがみの姿勢でお腹が圧迫されたり、バランスを崩したりするおそれがあります。行う前に、かかりつけの産婦人科医に相談してください。

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監修

木もれび鍼灸院/ツボ塾 代表

弓削 周平(ゆげ しゅうへい)

保有資格
  • 鍼灸師(はり師・きゅう師)
  • 日本東洋医学会会員
経歴
  • 2002年 明治東洋医学院専門学校卒業
  • 2011年 長春中医薬大学卒業(中医学士)
  • 2014年 木もれび鍼灸院開業

参考文献

  1. [PMID:20091596] Choi BK, Verbeek JH, Tam WW, et al.Exercises for prevention of recurrences of low-back pain.Cochrane Database Syst Rev.2010;2010(1):CD006555. https://doi.org/10.1002/14651858.cd006555.pub2
  2. [PMID:40180212] Comachio J, Beckenkamp PR, Ho EK, et al.Benefits and harms of exercise therapy and physical activity for low back pain: An umbrella review.J Sport Health Sci.2025;14:101038. https://doi.org/10.1016/j.jshs.2025.101038
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  9. [CRID:1390307136773602176] 川出 知樹,三上 章允,千鳥 司浩,ほか.コルセットの着用停止による非特異的慢性腰痛症の痛みの改善.理学療法科学.2026;41(1):12-17. https://doi.org/10.1589/rika.41.12

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