吐き気(悪心)は、みぞおちや胸のあたりのムカムカとした不快感で、嘔吐(胃の中のものが口から出ること)をしそうな感覚のことです。めまいや、おなかの漠然とした不快感、食欲のなさを伴うこともあります。吐き気や嘔吐の多くは、胃腸炎や薬、乗り物酔いなど原因がはっきりしていて、一時的なものです。
このページでご相談をお受けするのは、長引く、繰り返す吐き気、とくに検査をしても原因となる病気が見つからない吐き気です。急に始まった吐き気や嘔吐は、鍼灸の対象としてお伝えするものではありません。まず医療機関にご相談ください。
- 食事のたびにムカムカして、食べられる量が減ってきた
- 胃のあたりの不快感が、毎週のように続いている
- 検査では異常がないと言われたのに、吐き気だけが残っている
- 吐き気と一緒に、冷や汗が出たり、顔色が悪くなったりする
- 乗り物やめまいで、すぐに気持ち悪くなる
- ストレスを感じると、吐き気が出やすい
当院にも、こうした吐き気のお悩みでご相談に来られる方がいます。
病院で検査を受け、薬も使ってきたのに、吐き気を繰り返す毎日から抜け出せずにいる。そんな方も多いのではないでしょうか。あなたのせいではありません。吐き気には、ちゃんと理由があります。
吐き気のパターン
- 一時的な吐き気・嘔吐
- 胃腸炎や薬、乗り物酔いなど、原因がはっきりしているものです。原因の病気の治療や水分補給が基本で、急な症状は、まず医療機関にご相談ください。
- 長引く・繰り返す吐き気
- 原因となる病気が隠れていないかを、医療機関で確認することが大切です。そのうえで、体全体の状態を整える立場から、当院でご相談をお受けします。
- 検査で原因が見つからない吐き気
- 検査をしても原因が特定できず、吐き気が続くことがあります。脳と消化器のあいだの情報のやりとりの問題である可能性が示されています(慢性悪心嘔吐症候群)。
そこで本記事では、長引く・繰り返す吐き気のお悩みについて、東洋医学の視点から解説します。吐き気とのつきあい方を考える手がかりになれば幸いです。
吐き気でお困りならば東洋医学専門の鍼灸院へ
大阪の鍼灸院
吐き気の症状

吐き気に伴う主な症状は以下のとおりです。
- みぞおちや胸のあたりのムカムカした不快感
- 嘔吐しそうな感覚
- 食欲がわかない
- おなか全体の漠然とした不快感
- めまい
- よだれが増える
- 冷や汗が出る
- 顔色が悪くなる
よだれ・冷や汗・顔色の変化は、体の働きを無意識に調整している自律神経の症状です。血圧が下がる、脈がゆっくりになるといった変化が出ることもあるとされています。自律神経については、自律神経失調症のページもご覧ください。
吐き気が重い、あるいは嘔吐を繰り返す場合は
- 脱水(水分と、体に必要なミネラルが失われた状態)
- 栄養が足りなくなり、体重が減る
- 嘔吐したものを肺に吸い込んでしまう(誤嚥)
といった合併症が起こることがあります。
食事がとりにくい、外出先や乗り物が不安、人と食事をするのがつらい。吐き気は、周りからは見えにくいつらさだからこそ、その負担は大きいと思います。
吐き気の主な原因

西洋医学の観点からは、吐き気や嘔吐は、脳の延髄(脳と脊髄をつなぐ部分)にある「嘔吐中枢」が刺激されて起こるとされています。嘔吐中枢は、いわば吐き気や嘔吐の司令塔です。刺激の入り方は、大きく2つに分けられます(確立した生理学)。
嘔吐中枢への刺激の入り方
- 中枢性(直接刺激される)
- 頭の中の圧力が高まる病気や脳卒中などの物理的な刺激、抗がん薬などの薬の刺激、精神的なストレスや悪臭などの感覚の刺激が、嘔吐中枢を直接刺激して起こります。
- 反射性(間接的に刺激される)
- 消化管の通り道がふさがる、異物が入る、炎症が起こるといった消化器の刺激や、乗り物酔い・めまいなど耳からの刺激が、迷走神経や交感神経(自律神経の一部)を経由して、間接的に嘔吐中枢を刺激して起こります。
嘔吐中枢からの興奮は、胃や横隔膜、腹筋を刺激して嘔吐を起こすほか、視覚の異常や平衡感覚の異常など、さまざまな症状を起こすとされています。また、耳の奥にある平衡感覚の器官(前庭器官)は、嘔吐中枢とつながっています。そのため、船や車、飛行機の揺れや、内耳の病気で吐き気を催す方がいます。
具体的な原因として、次のようなものがあります。
- 胃腸炎(消化管の感染症)
- 薬剤やアルコールなどの物質、毒素(化学療法薬を含む)
- 腸の閉塞や、虫垂炎・膵炎など強い腹痛を伴う腹部の病気
- 胃不全麻痺(胃が空になりにくい病気)
- 肝炎、重度の肝不全・腎不全
- コントロール不良の糖尿病
- 片頭痛
- 脳や中枢神経系の病気(髄膜炎・脳腫瘍・脳出血など)
- 乗り物酔い、内耳の病気(内耳炎・頭位性めまいなど)
- 慢性悪心嘔吐症候群
最も多い原因は胃腸炎、薬などの物質、毒素とされています。一方で、脳や中枢神経系の病気のように、早く医療機関での確認が必要なものも含まれます。吐き気の症状の違いによって、考えられる原因は異なります。
頭痛やめまいを伴う吐き気
片頭痛:中等度から重度の頭痛を伴い、同じような発作を繰り返してきた経緯があることが多いとされています。頭痛の前に、チカチカした光や見えにくい部分(前兆)が現れることもあります。
内耳の病気:動いているような感覚(回転性めまい)や、頭を動かすと症状が強くなる、耳鳴りを伴う、といった特徴があります。
乗り物酔い:船・車・飛行機などでの移動が、きっかけとして明らかな場合です。
おなかの症状や、血糖値の高さを伴う吐き気
胃腸炎:嘔吐と下痢を伴います。腹痛は、嘔吐のとき以外はほとんど、またはまったくないとされています。
胃不全麻痺:食べたものが部分的に消化されたまま、数時間後に嘔吐する特徴があります。血糖値が高い状態の糖尿病の方や、おなかの手術のあとにみられるとされています。
腸の閉塞:排便やおならが出ない、現れたり消えたりする強い腹痛、おなかのふくらみを伴います。
肝炎:数日間続く軽度から中等度の吐き気に、全身のだるさや食欲のなさを伴い、尿が濃くなったあと、皮膚や白目が黄色くなることがあります。
次のような吐き気・嘔吐は、まず医療機関を受診してください
すぐに受診してください
- 脱水の徴候(のどの渇き、口の乾き、尿が少ない・出ない、力が入らない、疲れやすい)
- 頭痛、首のこわばり、錯乱、意識がもうろうとする
- 続く腹痛、おなかを押すと痛む、おなかがふくらんでいる
- 血を吐いた
- 最近、頭を打った
上のような徴候がなくても、次のときは受診してください
- 嘔吐が24〜48時間より長く続く
- 数口分より多くの水分がとれない
- 妊娠の可能性がある(まず医療機関で確認してください)
消化管の重い閉塞や、がん、脳の病気による嘔吐は、原因の病気の治療が優先されます。まず医療機関で検査を受け、重大な病気がないことを確認したうえで、鍼灸をご検討ください。当院では施術前の問診でこうしたサインがないかを確認し、必要な場合は医療機関の受診をおすすめしています。
検査をしても原因が特定できない吐き気
吐き気の評価では、医師が病歴の聞き取りと診察を行い、必要に応じて血液や尿の検査などを行います。それでも原因が特定できないことがあります。
慢性悪心嘔吐症候群
つらい吐き気、嘔吐、またはその両方が、直近の3か月を含む6か月以上にわたって、週1回以上の頻度で起こり、検査をしても原因が特定できない状態です。体の病気や特定の精神疾患によって生じたものではなく、脳と消化器のあいだで交わされる情報のやりとり(腸脳相関)のあり方の問題である可能性があるとされています。
「検査では異常なし」と言われ、なぜ吐き気を繰り返すのかがはっきりしないまま、つきあい続けている方も少なくありません。
長引く・繰り返す吐き気に、東洋医学ができること

吐き気の治療とのつきあい方
吐き気の治療は、原因となる病気の治療が基本です。そのうえで水分補給を行い、必要に応じて吐き気止めの薬が使われます。医師のもとで適切に使えば、頼りになる治療です。服用中の薬は、自己判断でやめないでください。
一方で、
- 検査で原因となる病気が見つからず、吐き気だけが残っている
- 吐き気止めを使っても、吐き気を繰り返す
- 食事がとりにくく、体力が落ちてきた
- 吐き気以外の不調(めまい・冷や汗・おなかの不快感)も残っている
というご相談もあります。鍼灸は、医療機関での検査・治療の代わりにはなりません。受診と並行して、吐き気を起こしにくい体づくりをご相談いただく形になります。
当院では「鍼で吐き気が治る」とはお伝えしていません
吐き気の背景には、早く対応が必要な病気が隠れていることがあります。そのため当院は、鍼で吐き気が治るとはお伝えしていません。大切なのは、まず医療機関で原因を確認することです。そのうえで、体全体の状態を東洋医学の視点で整える立場から、ご相談をお受けしています。
中国の鍼灸の教科書『針灸治療学』は、嘔吐(呕吐)の項で、急性・慢性の胃炎、胃の拡張、胃の入り口や出口のけいれん、胃神経症(胃神経官能症)などに伴う嘔吐を取り上げています。これは教科書がそのように位置づけている、という紹介です。現代の病名と同じ意味だと断定するものではありません。同じ教科書は、消化管の重い閉塞、がん、脳の病気による嘔吐では、原因の病気の治療を重視するとも述べています。
東洋医学で内側から体を整える

東洋医学では、胃は飲食物を受け入れ、下へ送り出すのが本来の働きだと考えます。この働きが乱れると、吐き気や嘔吐が起こるとされています。『針灸治療学』は、その原因を次の4つに整理しています。
- 飲食の不摂生(冷たいもの・脂っこいものの食べすぎ、傷んだものを食べた、など)
- 脾胃(消化をつかさどる働き)が弱く、体のすみずみに水分がうまく行き渡らず、余分な水分(痰飲)が胃のあたりにたまる
- 怒りや気持ちの落ち込みで「肝」の気が乱れ、胃に影響する(肝気犯胃)
- かぜなどの外からの邪(外感)
このうち、かぜなどに伴う急な吐き気・嘔吐は急性の症状として扱い、原因の一つとして触れるにとどめます。急な症状は、まず医療機関にご相談ください。
東洋医学では、吐き気だけに着目するのではなく、吐き気と一緒に起きている下記のような症状にも目を配り、全身の状態をチェックします。
- 食欲がない、食べものを受けつけにくい
- みぞおちや胸のつかえ
- おなかの張りや痛み
- げっぷ、酸っぱいものがこみ上げる
- おなかがゴロゴロ鳴る
- 動悸
- めまい、頭のふらつき
- 顔色がさえない
- 怒りっぽい、イライラしやすい
- わき腹やみぞおちの張りや痛み
東洋医学では吐き気を、胃だけの問題ではなく、体の内側のバランスの乱れのあらわれと考えます。そのため、「検査では異常なし」と言われた方や、治療を受けていても不調が残っている方にも、東洋医学ならではの視点からご提案ができます。
木もれび鍼灸院での施術の特徴
続けて、木もれび鍼灸院での施術についてくわしくご紹介します。

まずは、「四診」とよばれる東洋医学の伝統的な方法で、徹底的なカウンセリングを実施し、全身の状態を把握します。
四診とは、
- 視覚を通してチェックする「望診」
- 聴覚や嗅覚でチェックする「聞診」
- 問いかけと応答によりチェックする「問診」
- 脈や腹を診てチェックする「切診」
からなります。
吐き気の場合は、いつ、どんなきっかけで出るか(食後、気持ちが動いたあと、乗り物に乗ったときなど)、食事の様子、動悸やめまいなど吐き気以外の症状もくわしくうかがいます。受診が必要なサインがあるときは、医療機関の受診をおすすめします。
吐き気を五臓の視点からみる

『針灸治療学』では、声があって物が出ないものを「呕」、物が出て声がないものを「吐」と呼び分けています。両方が同時に出ることが多いため、まとめて「呕吐」と呼ばれます。
東洋医学では、
- 胃腸が弱く、体が重いときに出る吐き気は「脾」の不調
- 気持ちが動いたあとに出る吐き気は「肝」の不調
- 動悸や、気持ちの動きと重なって出る吐き気は「心」の不調
が関わると考え、施術の方針を立てています。(脾・肝・心は、西洋医学の脾臓・肝臓・心臓とは別物です。)
1つずつ解説していきます。
「脾」が関わる場合
「脾」は、飲食物を消化して、体のエネルギーに変える働きを担っています。脾胃が弱ると、水分がうまく巡らず、余分な水分(痰飲)が胃のあたりにたまります。『針灸治療学』は、これが吐き気・嘔吐につながると説明しています。
吐き気以外の症状として、
- 食欲がない
- 胸やみぞおちのつかえ
- 顔色がさえない
- 水っぽいものや痰のようなものを吐く
- 温かい飲みものでほっとする
- おなかがゴロゴロ鳴る
などの症状が多くみられます。
「肝」が関わる場合
「肝」は、気(体のエネルギー)の流れをのびやかに保つ働きを担っています。怒りや気持ちの落ち込み、ストレスで気の流れが乱れると、その影響が胃に及びます(肝気犯胃)。『針灸治療学』は、このタイプの吐き気は、精神的な刺激のあとに出やすく、繰り返しやすいと述べています。
吐き気以外の症状として、
- 気持ちが動いたあとに吐き気が出る
- イライラしやすい、怒りっぽい
- わき腹やみぞおちの張りや痛み
- 空えずき
- 酸っぱいものがこみ上げる
- 吐き気を繰り返しやすい
などの症状が多くみられます。
「心」が関わる場合
「心」は、気持ちの動きや落ち着きをつかさどる臓と考えます。『針灸治療学』は、肝の乱れによる吐き気が気持ちの動き(情志)と関わること、脾胃の弱りによる吐き気で動悸を伴うことを記しています。そこで当院では、気持ちの動きや動悸を伴う方について、「心」の状態もあわせて診ます。教科書が「心」を直接の原因として挙げているわけではないため、他の臓とあわせて確かめていく位置づけです。
吐き気以外の症状として、
- 動悸
- めまい、頭のふらつき
- 気持ちの動きで症状が左右される
などがみられる場合に、あわせて確認します。
脾・肝・心のいくつかが関わっている方も少なくありません。四診で全身の状態をていねいに見極め、脾胃を整える、気の巡りをのびやかにする、気持ちの動きに目を配るなど、その方に合ったツボを選んで施術します。
そこで、吐き気以外の不調にも目を向けながら、大元の状態に鍼灸施術を行うのです。
一人ひとりの体の状態に合わせて鍼灸によるツボの刺激をはじめ、
- 薬膳(食養生)
- 生活習慣のアドバイス
などを組み合わせ、体の機能を高めていくのが東洋医学です。ですので、吐き気のつらさを和らげることを目指すとともに、さまざまな不調の改善にも取り組んでいきます。
中国の中医薬大学を卒業した鍼灸師

木もれび鍼灸院では、中国の中医薬大学を卒業した鍼灸師が施術を行います。幅広い知識と確かな技術で、的確なケアをしていきます。
また、ハリやもぐさなど使用する道具も、体にやさしいものを厳選。お客様の不調にしっかりとアプローチできる施術を行っています。
東洋医学の施術を初めて受けられる方も、安心していらしてください。
患者さまからの喜びの声

外出もできるようになった
めまい・体調不良に悩まされていました。内科にて自律神経の乱れによるものと診断され、内服薬を服用していました。
治療前と比べると良くなりました。外出もできるようになりました。
※ご本人の感想を一部編集・要約して掲載しています。感じ方や経過には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。
※口コミは、ご本人が記された症状についての声で、吐き気についての声ではありません。
おわりに
今回は吐き気についてお話させていただきました。
吐き気の多くは、原因がはっきりしていて一時的なものです。だからこそ、長引く、繰り返す吐き気は、ひとりで抱え込まず、まず医療機関で確認してください。そのうえで、病院へ通っても、薬を使っても吐き気を繰り返す毎日から抜け出せないという方は、一人で抱えなくて大丈夫です。東洋医学を専門とする木もれび鍼灸院では、胃だけでなく全身の状態を診ることで、お力になれることがあると考えています。
今現在、長引く・繰り返す吐き気でお悩みの方は、ぜひ当院へご相談ください。医療機関での検査・治療と並行して、吐き気を起こしにくい体づくりをサポートさせていただきます。
参考資料
- 医療情報科学研究所(編).病気がみえる vol.1 消化器 第5版.メディックメディア.2016(2017年第4刷).p.20「悪心・嘔吐」.
- Jonathan Gotfried.成人の吐き気と嘔吐.MSDマニュアル家庭版.2024年5月.MSDマニュアル家庭版
- 杨长森(主編).針灸治療学 1.11 呕吐.上海科学技術出版社.1985(2021年第28次印刷).※東洋医学の見方は、この教科書の意訳です。
当院の技術は
多くのメディアで
紹介されています!!
※全ての方に施術による効果を保証するものではありません。
施術効果には個人差があり、症状や体質、経過によって異なる場合があります。
