嗄声(声が出ない)とは、声帯とその付近の異常によって声を出す働きが妨げられ、声がかすれる状態をいいます。声が少しかすれる程度のものから、声がほとんど出なくなるものまであります。原因は、声帯(喉頭)そのものに障害が起こる場合と、声帯を動かす神経(反回神経)のまひによる場合に、大きく分けられます。
- 声がかすれて、思うように話せない
- 声が出にくく、人と話すのがおっくうになる
- かぜが治ったあとも、声のかすれだけが残っている
- 声をたくさん使った日のあとに、声が出にくくなる
- 強い緊張やストレスのあとに、急に声が出なくなった
当院にも、こうした嗄声のお悩みでご相談に来られる方がいます。
声のかすれが長引いて、いつまで続くのだろうと不安を抱えている。そんな方も多いのではないでしょうか。あなたのせいではありません。ちゃんと理由があります。
嗄声の経過のパターン
- 急に声が出なくなる
- かぜのあとや、強い怒り・気持ちのつかえをきっかけに、急に声がかすれたり、出なくなったりします。
- 少しずつかすれが強まる
- 長く続く病気のあとや、声をたくさん使ってきた方で、軽いかすれから徐々に強まっていきます。
- 出なくなって、急に普段どおりに戻る
- 強いストレスなど気持ちの面がきっかけで、急に声が出なくなり、また急に普段どおり話せるようになる形です。
そこで本記事では、嗄声のお悩みについて、まず西洋医学での原因の分類を整理し、そのうえで東洋医学の視点から解説します。声の不調とのつきあい方を考える助けになれば幸いです。
嗄声(声が出ない)でお困りならば東洋医学専門の鍼灸院へ
大阪の鍼灸院
嗄声の症状

嗄声の主な症状は以下のとおりです。
- 声がかすれる(かすれ声)
- 声が出にくい
- 声がほとんど出なくなる
- 急に声がかすれる、または出なくなる
- かすれが、軽いものから少しずつ強まる
- 出なくなった声が、急に普段どおりに戻る
- のどのかゆみや痛みを伴う
- 咳や鼻づまり、鼻水を伴う
東洋医学の古典『黄帝内経』では、声が出ない状態を「瘖(いん)」と呼びました。「声嘶(せいし)」「倒嗓(とうそう)」という呼び方もあります。
症状が重い方ですと
- 声がまったく出なくなる
- 食べ物や飲み物でむせる(誤嚥)
- 息苦しさ
といった症状がある場合もあります。むせや息苦しさは、声帯を動かす神経(反回神経)のまひで起こりうるとされています。息苦しさは、特に左右両側にまひが起こった場合にみられます。このような症状があるときは、早めに医療機関を受診してください。
声は、会話や仕事、家族や友人とのやりとりに欠かせないものです。声がかすれたり出なくなったりすると、話すこと自体が負担になり、教師や歌手など声を使う仕事の方では、仕事にも影響が及ぶことがあります。周りからは見えにくいつらさだからこそ、その負担は非常に大きいと思います。
嗄声の主な原因

西洋医学の観点からは、嗄声の原因は大きく3つに分けて考えられています。声帯(喉頭)に直接の障害が加わる場合、声帯を動かす反回神経がまひする場合、そしてそれ以外の場合です。
声帯(喉頭)に直接の障害がある場合
声帯やその周辺の病気が、声のかすれにつながります。主な病気には次のようなものがあります。
- 喉頭炎
- 喉頭癌
- 喉頭肉芽腫
- 喉頭乳頭腫
- 声帯ポリープ
- ポリープ様声帯
- 声帯溝症
- 声帯白斑症
- 声帯結節
東洋医学の教科書(『针灸治疗学』)には、声帯を使いすぎて疲れさせてしまうことが、教師や歌手など声を使う仕事の方に多いと書かれています。
声帯を動かす神経(反回神経)がまひする場合
反回神経は、迷走神経という神経の一部です。この神経は、いったん胸のほうまで下りてから、血管の下側を回りこんで、再びのどに向かって上がってきます。「戻ってくる」ことから、反回神経と呼ばれます。
回りこむ血管は左右で異なり、左は大動脈弓(心臓から出る太い血管の弓なりの部分)、右は右鎖骨下動脈を、前から後ろへ回ります。左側のほうが道のりが長いため、まひも左側に多いとされています。のどの下のほうに着くと、粘膜や声帯を動かす筋肉に枝を出し、声帯の動きなどを担っています。
この神経は胸の中を通るため、近くの臓器の病気で圧迫されたり、入りこまれたりすると、まひが起こることがあります。まひの原因として、次のような病気があげられています。
- 肺癌
- 縦隔腫瘍(左右の肺の間にできる腫瘍)
- 食道癌
- 胸部大動脈瘤
反回神経がまひすると、声帯の動きが悪くなり、嗄声のほか、むせ(誤嚥)や息苦しさが起こりうるとされています。検査は、耳鼻咽喉科で喉頭内視鏡などを使い、声帯の動きを確認します。
その他の原因
- 喉頭異物
- 刺激ガスの吸入
- 喉頭外傷
- 胸部外傷
- 胸部の手術操作後
- 強いストレスなど心理的な要因
- ステロイド吸入(喘息治療の副作用)
喘息に関わる咳については、咳喘息のページもご覧ください。
次のような嗄声は、まず医療機関(耳鼻咽喉科)を受診してください
- 声のかすれが長引いているとき、鍼灸を受けても変わらないとき(声が出なくなる失音は、喉頭癌のサインの一つであることがあるとされています。耳鼻咽喉科で確定診断を受けてください)
- 反回神経のまひの原因には、肺癌・縦隔腫瘍・食道癌・胸部大動脈瘤などがあります。声のかすれのほかに気がかりな症状があるときも、受診をご検討ください
- 息苦しさや、食べ物・飲み物でのむせ(誤嚥)を伴うとき(早めの受診をおすすめします)
まず医療機関で原因を確認したうえで、鍼灸をご検討ください。当院では施術前の問診でこうしたサインがないかを確認し、必要な場合は医療機関の受診をおすすめしています。
嗄声の治療は、原因に応じて医療機関で行われます。当院がご相談に応じるのは、医療機関で原因を確認したうえでの、声の使いすぎ・かぜのあと・ストレスなどによる声のかすれや、長引く声の不調の「体質の面」です。耳鼻咽喉科で検査を受けても原因がはっきりしない声のかすれや声の出にくさについても、体質の面からご相談に応じています。腫瘍などが原因の場合や、反回神経のまひの場合は、主治医の治療が優先です。鍼灸がその代わりになるものではありません。
検査で原因がはっきりしない声のかすれに、東洋医学ができること

嗄声の治療とのつきあい方
嗄声の治療は、原因に応じて医療機関で行われます。医師の治療を受けている方は、自己判断で中断しないでください。
一方で、
- 声をたくさん使うと、声がかすれやすい
- かぜのあと、声のかすれだけが残っている
- 強い緊張やストレスで、声が出にくくなる
- 嗄声以外の不調も残ったまま
といった、体質の面でのご相談に応じています。医療機関での確認・治療を受けながら、声に負担がかかりにくい体づくりを並行して進めることが大切です。
東洋医学で内側から体を整える

東洋医学では、嗄声だけに着目するのではなく、嗄声と一緒に起きている下記のような症状にも目を配り、全身の状態をチェックします。
- のどのかゆみ
- のどの痛み
- 咳、痰
- 鼻づまり、鼻水
- 発熱
- のどや口の渇き、乾燥
- ほてり、寝汗
- 耳鳴り、めまい
- 動悸
- イライラ、胸のつかえ感
東洋医学では嗄声を、のどだけの問題ではなく、体の内側のバランスの乱れのあらわれと考えます。全身の調子を整えることで、声の不調を起こしにくい体を目指していくのが東洋医学でのやり方です。医療機関で原因を確認したうえで、体質の面から、東洋医学ならではの視点でご提案ができます。
木もれび鍼灸院での施術の特徴
続けて、木もれび鍼灸院での施術についてくわしくご紹介します。

まずは、「四診」とよばれる東洋医学の伝統的な方法で、徹底的なカウンセリングを実施し、全身の状態を把握します。
四診とは、
- 視覚を通してチェックする「望診」
- 聴覚や嗅覚でチェックする「聞診」
- 問いかけと応答によりチェックする「問診」
- 脈や腹を診てチェックする「切診」
からなります。
嗄声の場合は、声のかすれが急に起きたのか徐々に強まったのか、かぜのあとなのか、声を使う仕事かどうか、気持ちの面で思い当たるきっかけがあるかどうかも、くわしくうかがいます。
嗄声を五臓の視点からみる

東洋医学では、喉は肺につながる「声の門」と考えます。声の不調は、肺・腎・肝という3つの臓の状態と関わると考えます。
東洋医学では、
- かぜなど外からの邪(体を乱す外的な要因)で、急に起こる嗄声は「肺」の不調
- 長引く病気や声の使いすぎで潤いが不足し、徐々に強まる嗄声は「腎」の不調
- 気持ちのつかえや怒りで急に声が出なくなり、急に戻る嗄声は「肝」の不調
が原因と判断し施術をしています。(肺・腎・肝は、西洋医学の肺・腎臓・肝臓とは別物です。)
1つずつ解説していきます。
「肺」が原因の場合
「肺」は、呼吸を担い、喉とつながっています。かぜなど外からの邪が喉をふさぐと、気の通りが悪くなり、急に声がかすれたり、出なくなったりします。これを古くから「金実不鳴(きんじつふめい)」と呼びます。五行で肺は「金」にあたり、「肺(金)に邪が詰まって、声が鳴らない」という意味です。
嗄声以外の症状として、
- のどのかゆみ、咳
- 鼻づまり、鼻水
- のどの痛み
- 痰
- 発熱
- 鼻やのどの乾き
などの症状が多くみられます。
「腎」が原因の場合
「腎」は、体の潤いの土台を担っています。長引く病気や声の使いすぎで潤いが不足すると、潤いが喉まで届かなくなり、声の通り道が乾いて、声のかすれが少しずつ強まります。これを古くから「金破不鳴(きんはふめい)」と呼びます。「潤いを失って傷んだ肺(金)では、声が鳴らない」という意味です。
嗄声以外の症状として、
- やせてきた
- のどや口の渇き
- ほてり、寝汗
- 痰の少ない乾いた咳
- 動悸
- 耳鳴り
などの症状が多くみられます。
「肝」が原因の場合
「肝」は、気(体を巡るエネルギー)の流れをなめらかにする働きを担っています。気持ちのつかえや怒りがたまると気の流れが滞り、声の通り道がうまく働かなくなって、急に声が出なくなることがあります。しばらくして急に普段どおり話せるようになるのも、この形の特徴です。
嗄声以外の症状として、
- イライラ、怒りっぽい
- めまい
- 耳鳴り
- 口の渇き
- 胸のつかえ感
- げっぷが出やすい
などの症状が多くみられます。
肺・腎・肝のうち複数が関わっている方も少なくありません。四診で全身の状態をていねいに見極め、肺の働きを整える、腎の潤いを補う、肝の気の流れを整えるなど、その方に合った施術を行います。
当院では「鍼で嗄声が治る」「声が戻る」とはお伝えしていません。声の不調の背景にある体質の面から、全身の状態を整えることを目指しています。
一人ひとりの体の状態に合わせて鍼灸によるツボの刺激をはじめ、
- 薬膳(食養生)
- 生活習慣のアドバイス
- 運動療法
などを組み合わせ、体の機能を高めていくのが東洋医学です。ですので、声の不調の背景にある体質の面に取り組むとともに、様々な不調にも目を配っていきます。
中国の中医薬大学を卒業した鍼灸師

木もれび鍼灸院では、中国の中医薬大学を卒業した鍼灸師が施術を行います。幅広い知識と確かな技術で、的確なケアをしていきます。
また、ハリやもぐさなど使用する道具も、体にやさしいものを厳選。お客様の不調にしっかりとアプローチできる施術を行っています。
東洋医学の施術を初めて受けられる方も、安心していらしてください。
患者さまからの喜びの声

※嗄声についての声ではありません。のどの不調や長引く咳など、関連する症状についてのご感想です。
のどの不調(エヘン虫)
のどの不調(エヘン虫)で半年以上続いていました。治まってはいませんが、以前よりはましになりました。運動と食事改善をし、様子をみていこうと思います。
長引く咳
約2ヶ月ぐらいせきが止まらなく、特に横になると、ひどくなるので、寝るのが、いやになってました。
まずせきの感じが違います。ずっと気になってた胸のぐるぐる(もやもや?)が感じなくなりました。かぜのなおりかけの時のようなせきのタイプに変化しました。
※ご本人の感想を一部編集・要約して掲載しています。感じ方や経過には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。
おわりに
今回は嗄声についてお話させていただきました。
声のかすれが長引いて、不安を抱えている方も、一人で抱えなくて大丈夫です。まずは耳鼻咽喉科で原因を確認してください。そのうえで、東洋医学を専門とする木もれび鍼灸院では、のどだけでなく全身の状態を診ることで、体質の面からお力になれることがあると考えています。
今現在、声の不調でお悩みの方は、ぜひ当院へご相談ください。声に負担がかかりにくい体づくりを、医療機関での治療と並行してサポートさせていただきます。
参考資料
- 医療情報科学研究所 編.病気がみえる vol.7 脳・神経 第1版.メディックメディア,2011.p.239(反回神経について)
- 医療情報科学研究所 編.病気がみえる vol.4 呼吸器 第2版.メディックメディア,2013.Supplement「嗄声」
- 杨长森 主编.针灸治疗学(1.7 失音).上海科学技术出版社,1985(2021年第28次印刷).※中国語の教科書。本文の東洋医学の解説は意訳して使用しています
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※全ての方に施術による効果を保証するものではありません。
施術効果には個人差があり、症状や体質、経過によって異なる場合があります。