突発性難聴とは、前ぶれなく突然、片方の耳が強く聞こえにくくなる病気で、原因はまだ明らかになっていません。耳鳴りや耳が詰まった感じ、めまいを伴うことがありますが、めまいを何度も繰り返すことはなく、1回の発作で終わるのが特徴とされています。50〜60歳代に多いとされます。治療を始めるのが遅れると聞こえが戻りにくくなるため、急に聞こえが悪くなったときは、まず早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
- 朝起きたら、片方の耳が急に聞こえにくくなっていた
- 耳鼻咽喉科で治療を受けたが、聞こえにくさが残っている
- 治療のあとも、耳鳴りや耳の詰まった感じが続いている
- 片耳では聞き取りにくく、人の話を聞き返すことが増えた
- このまま聞こえが戻らないのではと不安になる
当院にも、こうした突発性難聴のお悩みでご相談に来られる方がいます。
病院で治療を受けたものの、聞こえにくさや耳鳴りが残ったまま、これからどうつきあえばよいのかわからずにいる。そんな方も多いのではないでしょうか。
突発性難聴のパターン
- 突然、または朝起きたときに片耳が聞こえにくくなる
- 前ぶれなく、その瞬間から聞こえが落ちるタイプ。朝、目が覚めて気づく方も多いとされます。数日かけて悪化する例や、まれに両耳が同時に聞こえにくくなる例もあります。
- 耳鳴りや耳の詰まった感じを伴う
- 聞こえにくさが起こる前後に、耳鳴りや、耳がふさがったような感じ(耳閉感)が出ることがあります。
- めまいや吐き気を伴う
- 聞こえにくさと前後して、めまいや吐き気・嘔吐が出ることがあります。突発性難聴のめまいは1回きりで、繰り返さないとされます。めまいの発作を繰り返す場合は、ほかの耳の病気が考えられます(くわしくは下の「主な原因」をご覧ください)。
- 治療のあとも聞こえにくさや耳鳴りが残る
- 治療を受けても聞こえが一部しか戻らない、または変わらない方もいます。耳鳴りや耳の詰まった感じが続くこともあります。
そこで本記事では、突発性難聴のお悩みについて、東洋医学の視点から解説します。突発性難聴のつらさを和らげ、穏やかな毎日を取り戻す助けになれば幸いです。
突発性難聴の治療後も聞こえにくさや耳鳴りでお困りならば東洋医学専門の鍼灸院へ
大阪の鍼灸院
突発性難聴の症状

突発性難聴の主な症状は以下のとおりです。
- 前ぶれなく、突然、耳が聞こえにくくなる
- 多くは片方の耳だけに起こる
- 朝、目が覚めたときに聞こえにくさに気づく
- 耳鳴りがする
- 耳が詰まったような感じ(耳閉感)がある
- めまいがする(1回きりで、繰り返さない)
- 吐き気・嘔吐を伴う
日本の診断基準では、聞こえの検査(純音聴力検査)で、隣り合う3つの高さの音(周波数)でそれぞれ30dB以上の聞こえの低下が、72時間以内に生じたものとされています。また、聞こえがよくなったり悪くなったりを繰り返すことはないとされます。
症状が重い方ですと
- 片方の耳がほとんど聞こえないほど、聞こえが大きく落ちる
- 強いめまいと、吐き気・嘔吐を伴う
- 治療のあとも、聞こえにくさや耳鳴りが残る
といった症状がある場合もあります。
片方の耳が聞こえにくいと、人との会話で聞き返すことが増えたり、騒がしい場所で話が聞き取りにくくなったり、音がどちらから聞こえてくるのかつかみにくくなったりします。急に聞こえが変わったことへの戸惑いや、「このまま戻らないのでは」という不安を抱える方も少なくありません。周りからは見えにくいつらさだからこそ、その負担は非常に大きいと思います。
突発性難聴の主な原因

西洋医学の観点からは、突発性難聴の原因はまだ明らかになっていませんが、下記のような考え方があります。
耳の奥にある「蝸牛(かぎゅう)」という器官には、音の振動を電気信号に変えて脳へ送る「有毛細胞」という細胞が並んでいます。突発性難聴は、何らかの原因でこの有毛細胞が傷んでしまい、音の信号が脳へ伝わらなくなることで起こると考えられています。有毛細胞が傷む原因としては、細胞に栄養を送る細い血管がけいれんするなどして十分な酸素が届かなくなる「循環障害説」と、おたふくかぜ(ムンプス)や単純ヘルペスなどのウイルスが感染して細胞を傷める「ウイルス感染説」が考えられています。最近では、細胞がストレスに対応するしくみが過剰に働くことが関わっている、という報告もあります。
急に聞こえが悪くなる病気はほかにもあり、診断のうえでは、次のような病気でないことを確かめることが大切とされています。
- 突発性難聴
- 急性低音障害型感音難聴
- メニエール病
- 聴神経腫瘍
- 脳の病気(頭蓋内の病変)
- 機能性難聴
そのため耳鼻咽喉科では、聞こえの検査(純音聴力検査)に加えて、必要に応じてMRIなどの画像検査、脳の聞こえの反応をみる検査(聴性脳幹反応)、めまいの検査などが行われます。聞こえの検査は、診断だけでなく、治療の効果をみるためにも使われます。
突発性難聴の症状の違いによって、考えられる原因は異なります。
低い音が聞こえにくく、耳が詰まった感じがする
急性低音障害型感音難聴:低い音の領域だけが、急に、または突然聞こえにくくなる病気です。急に聞こえが悪くなる病気の中で最も多く、20〜30歳代の若い女性に多いとされます。耳が詰まった感じが最もよくみられる症状で、多くは片側に起こります。突発性難聴と違って症状を繰り返すことがありますが、めまいは伴わないのが特徴とされ、聞こえの検査で突発性難聴と区別することが大切とされています。
めまいの発作を繰り返す
メニエール病:めまいを伴う耳の病気ですが、突発性難聴のめまいが1回きりで終わるのに対して、メニエール病ではめまいの発作を繰り返すとされます。急性低音障害型感音難聴と同じように、耳の奥のリンパ液がたまりすぎる状態(内リンパ水腫)が関わっていると考えられています。
耳鳴りが続いている
耳鳴り:突発性難聴は、耳鳴りを伴いやすい病気の一つとされ、とくに高い音の耳鳴りを伴いやすいとされています。治療のあとも耳鳴りが続いている方は、耳鳴りの鍼灸治療についてもあわせてご覧ください。
耳ではなく頭の中で鳴っているように感じる
頭鳴り:音が耳ではなく、頭の中や頭の上・後ろで鳴っているように感じる場合は「頭鳴り(ずめい)」と呼ばれます。くわしくは頭鳴り(脳鳴り)の鍼灸治療についてをご覧ください。
急に聞こえが悪くなったら、まず早めに耳鼻咽喉科を受診してください
突発性難聴は、治療が遅れると聞こえの回復が難しくなるとされ、できるだけ早く治療を始めることが大切な病気です。治療開始の遅れは、聞こえが戻りにくくなる要因の一つに挙げられています。また、急性期の治療のあとに改善しない場合、聞こえの回復は難しいとされています。次のようなときは、鍼灸院より先に、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
- 片方、または両方の耳が、急に聞こえにくくなった
- 朝起きたら、耳が聞こえにくくなっていた
- 耳が急に詰まった感じになった、耳鳴りが急に始まった
- 聞こえにくさと一緒に、めまいや吐き気・嘔吐がある
また、聞こえにくさに加えて、手足のしびれ・まひ、顔のゆがみ、ろれつが回らないなど、耳以外の神経の症状がある場合は、脳の病気が隠れていることがあるため、すぐに医療機関を受診してください。
鍼灸は、耳鼻咽喉科での治療の代わりにはなりません。当院では施術前の問診でこうしたサインがないかを確認し、急に聞こえが悪くなったばかりの方には、まず耳鼻咽喉科の受診をおすすめしています。
ですが、突発性難聴は原因がまだ明らかになっておらず、MRIなどの画像検査では異常がみられないとされています(画像検査はほかの病気がないかを確かめるために行われます)。治療の結果にも幅があり、ステロイドの投与などの治療を行った場合、約3分の1の方は治癒するものの、約3分の1の方は部分的な回復にとどまり、約3分の1の方は変わらないと報告されています。「なぜ自分が」「残った聞こえにくさや耳鳴りとどうつきあえばいいのか」がはっきりしないまま過ごしている方も少なくありません。
突発性難聴に東洋医学がおすすめの理由

突発性難聴の治療とのつきあい方
突発性難聴の治療は、耳鼻咽喉科での治療が中心です。通常はステロイドの投与に、ビタミン製剤、ATP製剤、血管を広げる薬などを組み合わせることが多く、ステロイドを耳の中(鼓室)に直接入れる方法や、高い気圧の中で酸素を吸う高圧酸素療法が行われることもあります。医師のもとで、できるだけ早く治療を始めることが大切です。服用中の薬は、自己判断でやめないでください。
当院では「鍼で聞こえが戻る」とはお伝えしていません。鍼灸は、耳鼻咽喉科の治療に代わるものではなく、治療と並行して、あるいは治療を終えたあとに聞こえにくさや耳鳴りが残っている方が、体全体の調子を整えるための選択肢の一つと考えています。
当院には、
- 治療を終えたが、聞こえにくさが残っている
- 耳鳴りや耳の詰まった感じが続いて、気持ちが休まらない
- 聞こえにくさが気になって、疲れやすくなった
- 突発性難聴以外の不調は残ったまま
というご相談も多く寄せられます。耳鼻咽喉科での治療を優先しながら、並行して、また治療を終えたあとも、体全体の調子を整えていくことが大切です。
東洋医学で内側から体を整える

東洋医学では、突発性難聴だけに着目するのではなく、突発性難聴と一緒に起きている下記のような症状にも目を配り、全身の状態をチェックします。
- 頭痛、めまい
- イライラしやすい、怒りっぽい
- 顔や目が赤くなりやすい
- 口が苦い、のどが渇く
- 寝つきが悪い、眠りが浅い
- 脇腹が張る、便秘
- 腰や膝のだるさ
- 頭のふらつき、目のかすみ
- 夜になると耳鳴りが気になる
- 疲れると聞こえにくさや耳鳴りが強まる
東洋医学では突発性難聴を、耳だけの問題ではなく、体の内側のバランスの乱れのあらわれと考えます。全身の調子を整えることで、聞こえにくさや耳鳴りとつきあいやすい体を目指していくのが東洋医学でのやり方です。そのため、耳鼻咽喉科の治療を受けている方や、治療を終えても聞こえにくさや耳鳴りが残っている方にも、東洋医学ならではの視点からご提案ができます。
木もれび鍼灸院での施術の特徴
続けて、木もれび鍼灸院での施術についてくわしくご紹介します。

まずは、「四診」とよばれる東洋医学の伝統的な方法で、徹底的なカウンセリングを実施し、全身の状態を把握します。
四診とは、
- 視覚を通してチェックする「望診」
- 聴覚や嗅覚でチェックする「聞診」
- 問いかけと応答によりチェックする「問診」
- 脈や腹を診てチェックする「切診」
からなります。
突発性難聴の場合は、いつ・どのように聞こえが落ちたか、耳鼻咽喉科で受けた検査と治療の内容、その後の聞こえの変化、耳鳴り・耳の詰まった感じ・めまいの有無、発症前の怒りや悩み・疲れ・睡眠の様子もくわしくうかがいます。耳鼻咽喉科を受診していない方や、急に聞こえが悪くなったばかりの方には、まず耳鼻咽喉科の受診をおすすめしています。
突発性難聴を五臓の視点からみる

東洋医学の古典では、急に聞こえが落ちる状態を「暴聾(ぼうろう)」「卒聾(そつろう)」などと呼び、長く続く聞こえにくさ(「久聾(きゅうろう)」)とは分けて考えてきました。中医学の鍼灸の教科書でも、急に起こる聞こえの低下は、体に余分な熱や滞りがある「実証」、長く続く聞こえの低下は、体の力が不足している「虚証」に多いとされています。
東洋医学では、
- 強い怒りや悩みのあとに急に起こり、頭痛やイライラを伴う聞こえの低下は「肝」の不調
- 年齢や疲れの積み重ねとともに、聞こえにくさや耳鳴りが長く残る場合は「腎」の不調
が原因と判断し施術をしています。(肝と腎は、西洋医学の肝臓・腎臓とは別物です。)
1つずつ解説していきます。
「肝」が原因の場合
「肝」は、全身の気のめぐりをのびやかに保つ働きを担っています。激しい怒りで肝が傷ついたり、気持ちを押さえ込む状態が続いたりすると、肝の気が滞って上へ突き上げ、こもった熱とともに耳をふさいで、聞こえにくさや耳鳴りを起こすとされます。古典にも「肝の気が逆らって上ると、頭痛や耳の聞こえにくさが起こる」という記述があります。怒ったり悩んだりしたあとに急に聞こえが落ちたり強まったりし、潮騒や風・雷のような大きな耳鳴りや、耳の張った感じを伴うのが特徴で、耳を押さえても音はあまり変わらないとされます。
突発性難聴以外の症状として、
- イライラしやすい、怒りっぽい
- 頭痛、めまい
- 顔や目が赤くなりやすい
- 口が苦い、のどが渇く
- 寝つきが悪い
- 脇腹が張る、便秘
などの症状が多くみられます。
「腎」が原因の場合
「腎」は、生命力の源である「精」をたくわえ、骨や脳を養う働きを担っています。東洋医学では古くから「耳は腎の窓口(腎は耳に開竅する)」と考えられ、腎の精がしっかりしていれば耳はよく聞こえるとされます。年齢や長く続いた病気、無理の積み重ねで腎の精が不足すると、耳を十分に養えなくなり、聞こえにくさが長引いたり、少しずつ落ちていったりするとされます。蝉の鳴くような耳鳴りが昼も夜も続き、とくに夜に強まり、疲れると強まるのも特徴です。古典には「養生がうまくいけば聞こえにくさは次第に軽くなるが、無理を重ねると長く続く聞こえにくさになる」という記述もあります。
突発性難聴以外の症状として、
- 腰や膝がだるく、力が入りにくい
- 頭がふらつく
- 目がかすむ
- 夜に耳鳴りが気になり、眠りが浅い
- 疲れると聞こえにくさや耳鳴りが強まる
- 食欲がない
などの症状が多くみられます。
肝と腎の両方が関わっている方も少なくありません。四診で全身の状態をていねいに見極め、肝の気のめぐりをよくしてこもった熱を鎮める、腎の力を補うなど、その方に合ったツボを選んで施術します。中医学の鍼灸の教科書では、耳の前後を通る経絡(少陽経)のツボと、手足のツボを組み合わせる方法が示されています。
そこで、これらの不調も改善するよう、大元の原因に鍼灸施術を行うのです。
一人ひとりの体の状態に合わせて鍼灸によるツボの刺激をはじめ、
- 薬膳(食養生)
- 生活習慣のアドバイス
- 運動療法
などを組み合わせ、体の機能を高めていくのが東洋医学です。中医学の教科書には、日々の養生として、肝の気の滞りが関わる方は気持ちをのびやかに保つこと、腎の不足が関わる方はしっかり休むこと、また寝る前の足湯や、濃いお茶・コーヒー・お酒などの刺激の強い飲み物を控えることが挙げられています。聞こえにくさが強い方は、道路を歩くときなど交通の安全にも気をつけることがすすめられています。ですので、突発性難聴のあとに残るつらさを和らげることを目指すとともに、様々な不調の改善にも取り組んでいきます。
中国の中医薬大学を卒業した鍼灸師

木もれび鍼灸院では、中国の中医薬大学を卒業した鍼灸師が施術を行います。幅広い知識と確かな技術で、的確なケアをしていきます。
また、ハリやもぐさなど使用する道具も、体にやさしいものを厳選。お客様の不調にしっかりとアプローチできる施術を行っています。
東洋医学の施術を初めて受けられる方も、安心していらしてください。
おわりに
今回は突発性難聴についてお話させていただきました。
急に聞こえが悪くなったときは、まず早めに耳鼻咽喉科を受診してください。そのうえで、治療を受けても聞こえにくさや耳鳴りが残り、この先どうつきあえばよいのかわからないという方も、一人で抱えなくて大丈夫です。東洋医学を専門とする木もれび鍼灸院では、耳だけでなく全身の状態を診ることで、あなたのお力になれることがあると考えています。
今現在、突発性難聴のあとの聞こえにくさや耳鳴りでお悩みの方は、耳鼻咽喉科での治療と並行して、または治療を終えたあとに、ぜひ当院へご相談ください。体全体の調子を整え、健康的な毎日を過ごせるようサポートさせていただきます。
参考資料
- 医療情報科学研究所 編.病気がみえる vol.13 耳鼻咽喉科 第1版.メディックメディア.2020.「突発性難聴」p.96-99
- 日本聴覚医学会 編.耳鳴診療ガイドライン 2019年版.金原出版(Web公開版).「耳鳴をきたす疾患」p.37、薬物療法の概説「ステロイド製剤」p.43
- 王徳鑑 主編.中医耳鼻喉科学(高等医药院校教材).上海科学技术出版社.1985(2020年第33刷).「耳鸣、耳聋」p.25-29
- 杨长森 主編.针灸治疗学(高等医药院校试用教材).上海科学技术出版社.1985(2021年第28刷).「耳鸣、耳聋」p.172-173
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施術効果には個人差があり、症状や体質、経過によって異なる場合があります。