こんなお悩みありませんか?
眼科の検診で「眼圧は正常です」と言われているのに、視野が狭くなってきた、視力が落ちてきたとお困りではありませんか?特に手足の冷えや低血圧、偏頭痛をお持ちの方は、眼圧の数値だけでは見えてこない「血流の調整不全」が背景にある可能性があります。
動画解説
今回の動画では、正常眼圧緑内障(NTG)と、その進行に深く関わる「フラマー症候群」という体質的特徴について、当院院長・弓削周平が東洋医学・鍼灸師の視点から解説しています。この記事では、動画の内容をさらに詳しく掘り下げてお伝えします。
なぜこの症状が起こるのか?その根本原因
現代医学から見た原因
日本人の緑内障患者の実に9割以上が、眼圧が統計的な正常範囲内にある「正常眼圧緑内障」であることが、大規模な疫学調査(多治見スタディ)で報告されています。欧米に比べて著しく高い割合であり、眼圧以外の因子、特に視神経の血流調節障害が進行に関与している可能性が強く示唆されています。
その代表的な背景として近年注目されているのが「フラマー症候群」です。これは寒冷刺激やストレスに対して全身の微小血管が過剰または不適切に反応する体質的な特徴(一次性血管調節不全)で、低血圧・冷え性・偏頭痛・几帳面な性格・入眠困難などを伴います。血管を収縮させる物質(エンドセリン-1)の働きが優位になることで、網膜の静脈圧が上昇し、視神経への血流(灌流圧)が慢性的に不足しやすくなると考えられています。特に夜間の過度な血圧低下は、視神経への血流を危機的な水準まで下げてしまう最大の増悪因子とされています。
- 眼圧非依存性の血流調節不全(自己調節能の破綻)
- 夜間の過度な血圧低下(オーバーディッパー)
- 末梢循環の不安定さ(冷え性・低血圧・偏頭痛)
東洋医学から見た根本原因
東洋医学の視点では、この病態は「血瘀(けつお)」(血の巡りの停滞)、「肝気郁結(かんきうっけつ)」(ストレスによる気の巡りの乱れ)、「血虚・陽虚」(栄養と熱エネルギーの不足)が複合した状態として捉えられます。几帳面でストレスを溜めやすい性格傾向や、冷え・低血圧という体質は、まさにこの「肝の疏泄機能の停滞」と「陽気の不足」が重なったサインと考えることができます。
症状改善への具体的なアプローチ
今すぐできるセルフケア
血圧・自律神経を整える「光のコントロール」
血圧の安定には、深く継続した睡眠が欠かせません。動画内でもお伝えした3つのポイントを実践してみてください。
- 日中はカーテンを開け、外の光をしっかり室内に取り込む
- 夕方から夜にかけて、屋内の照明は明るくしすぎない
- 朝起きたら外に出て、太陽の光を体でしっかり浴びる
この光の管理により体内時計(概日リズム)が安定し、深い睡眠につながることで血圧の安定をサポートすると考えられます。また、就寝前の足浴や靴下で末梢を温めることも、深部体温をスムーズに下げて入眠しやすくする助けになります。
専門的な鍼灸治療のアプローチ
鍼灸治療の特徴
動物実験を用いた研究では、足のツボへの鍼刺激によって網膜・脈絡膜の血流が有意に上昇したことが報告されています。また、目の周囲の経穴(睛明・太陽など)への刺激が眼動脈の血管抵抗を下げ、視神経への血流を直接増加させる可能性も示されています。鍼灸のメタアナリシスでも、眼圧下降治療を補完し視野機能の維持を助ける可能性が支持されていますが、個々の研究の質にはばらつきがあるため、さらなる大規模研究が望まれる段階です。
治療の流れ
問診(体質・生活習慣の聴取)→ 脈診・腹診(気血の状態の把握)→ 治療プラン(自律神経・血流調整を目的とした施術設計)→ フォローアップという流れで進めます。
患者様からよくいただくご質問
Q1. ホルモン補充療法を受けていますが、鍼灸と併用しても大丈夫ですか?
A. ホルモン療法自体の適否は必ず婦人科と眼科の両方で確認してください。眼科で「現在の治療と緑内障の親和性に問題がない」ことを担保した上で、鍼灸は自律神経・血流面のサポートとして併用いただけます。
Q2. 冷え性は改善すれば緑内障にも良い影響がありますか?
A. 冷え性は末梢血管の循環不良のサインの一つと考えられ、全身の血流環境を整えることは、眼の症状にとってもプラスに働く可能性があります。
Q3. どのくらいで変化を感じられますか?
A. 体質や症状の程度により個人差があります。まずは生活習慣の見直しと並行して、施術を継続しながら経過を見ていくことをおすすめします。
まとめ:健やかな毎日を取り戻すために
正常眼圧緑内障は、眼圧の数値だけでなく、血流・血圧という全身の状態が深く関わっている可能性があります。低血圧・冷え性・偏頭痛・几帳面な性格に心当たりのある方は、夜間血圧のコントロールと、光を活用した睡眠の質の改善から始めてみてください。なお、進行性の視野障害は眼科的な管理が不可欠な症状ですので、必ず主治医の眼科医と連携しながら取り組むことが大切です。
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参考文献
- Konieczka K, et al. Flammer syndrome. EPMA J. 2014. リンク
- 多治見スタディ(Tajimi Study). 日本人における原発緑内障の有病率調査. リンク
- Park HYL, et al. Relationship between normal tension glaucoma and Flammer syndrome. 2017. リンク
- Koseki N, et al. A placebo-controlled 3-year study of nilvadipine on visual field and ocular circulation in NTG. Ophthalmology. 2008. リンク
- Lee J, et al. Effect of Ginkgo biloba extract on visual field progression in normal tension glaucoma. 2013. リンク
- Acupuncture for glaucoma: A systematic review and meta-analysis. Korea Institute of Oriental Medicine. 2020. リンク
- The Changes in Blood Flow Seen in the Eye after Foot Acupuncture Treatment in Mice. リンク

