【血糖スパイク】食後に眠くなるのはなぜ?血糖の動きと桑の葉茶の研究を解説

【血糖スパイク】食後に眠くなるのはなぜ?血糖の動きと桑の葉茶の研究を解説 糖尿病・代謝・内分泌
【血糖スパイク】食後に眠くなるのはなぜ?血糖の動きと桑の葉茶の研究を解説

この記事の結論

食後に眠くなる原因が血糖の動きだけで決まる、とは現時点の研究では言えません。食後すぐの眠気と、食後2〜5時間ごろに起こる「反応性低血糖」(食後に血糖が下がりすぎる状態)によるだるさは、分けて考える必要があります。桑の葉は食後の血糖の上昇を抑えたという報告がありますが、眠気が減るかを調べた研究は、今回確認した範囲ではありません。

この記事の対象者
食後に眠くなる、昼食のあとにだるくて仕事や家事が進まない、という方向けの記事です。夜に眠れない方や、日中ずっと眠い方は、食事以外の原因も考えられます。原因を整理したい場合は、お問い合わせからご相談ください。

この記事は、ツボ塾で公開した動画の内容をもとに、各見出しで「動画で話したこと」と「研究で分かっていること」を並べて整理しています。大阪の木もれび鍼灸院・院長 弓削周平(鍼灸師・臨床経験27年)が解説します。

なんで食後に眠たくなるの?

動画で話したこと

食後の眠気は、血糖値スパイク(食後の急な血糖上昇)のあとに血糖が下がりすぎること、つまり低血糖が関わって起こる、と説明しました。

研究で分かっていること

食後すぐ(2時間ごろまで)の眠気については、血糖と眠気の因果関係は不明とされています。確度は「未検証」です。

一方、食後2〜5時間ごろに血糖が下がりすぎる「反応性低血糖」という状態は、総説で説明されています。確度は「機序的仮説」で、眠気との関係は別に確認が必要です。

動画との違い:動画では「血糖スパイク→低血糖→眠気」を一つの流れとして説明しましたが、研究では、この流れ全体が確かめられているわけではありません。食後すぐの眠気と、数時間後のだるさは、分けて考えるのが安全です。

食後すぐの眠気は、血糖の上がり方で決まるの?

動画で話したこと

食後の血糖の急な上昇を抑えれば、食後の眠気を予防できる、という考え方でお話ししました。

研究で分かっていること

白飯と手作り炒飯を食べて血糖と眠気を比べた学会発表では、摂取後45分の血糖は炒飯のほうが白飯より低い値でした。ところが眠気は、どの食事でも摂取後60分まで上がってその後に下がり、食事の間で差は認められていません。眠気を測ったのは摂取後120分までで、学会要旨である点には注意が必要です。確度は「未検証」です。

食べ物と血糖と眠気の関係を調べた論文を整理した総説でも、因果関係は不明と述べられています。

動画との違い:動画では血糖の上昇を抑えれば眠気も予防できるように聞こえますが、研究では、血糖の上がり方が違っても眠気に差が出ませんでした。眠気の原因は、血糖以外の要因も重なると考えるのが現実的です。

数時間後の「反応性低血糖」とは?

動画で話したこと

食後の高血糖のあとに極度の低血糖が起こることがあり、それを予防することが大切だとお話ししました。

研究で分かっていること

反応性低血糖は、食後2〜5時間ごろに血糖が下がりすぎる状態です。食後の早い時期にインスリンが十分に出ないと、まず血糖が上がり、その後にインスリンが遅れて多めに出て血糖が下がりすぎる、と総説で説明されています。確度は「機序的仮説」です。

ただし、「だるい・眠い」ことと「血糖が下がっていること」は、必ずしも一致しません。反応性低血糖が疑われた40人に5時間の糖負荷試験を行った研究では、低血糖症状があり血糖が基準以下になって診断されたのは12人(約3割)でした。一方、10人(25%)は血糖が大きく下がらないのに低血糖のような症状を訴えました。この研究は眠気そのものを測ったものではなく、確度は「経験的示唆」にとどまります。

先ほどの試験が眠気を測ったのは食後120分まででした。数時間後の眠気は、調べられていません。

食事で血糖が上がる → インスリンが遅れて多めに出る → 数時間後に血糖が下がりすぎる → 冷や汗・手の震え・だるさ

動画との違い:動画では眠気を低血糖の結果として説明しましたが、研究では、症状と血糖の低下が一致しない人も多くみられます。食後の眠気を「低血糖のサイン」と断定することはできません。

桑の葉は、食後の血糖上昇を抑えるの?

動画で話したこと

桑の葉茶に含まれるDNJ(1-デオキシノジリマイシン)が、食後の血糖の上昇を抑えると紹介しました。「圧倒的なデータがある」とお伝えし、DNJが膵臓のインスリンの働きを助ける、という説明もしました。

研究で分かっていること

茶:桑の葉とヒシの混合茶(3 g中のDNJは10.2 mg)を、日本人の境界型の方に米飯と一緒に摂ってもらった二重盲検クロスオーバー試験では、食後30分と60分の血糖が有意に低くなりました。インスリンは、全ての測定時点で低い値でした。

水抽出物:桑の葉の水抽出物を1日5 g、4週間摂った試験では、空腹時血糖が高めの36人で、糖の負荷後30分と60分の血糖反応が弱まりました。

食後の早い時間帯の血糖上昇がゆるやかになった報告がある、というのが現時点の到達点です。確度は「経験的示唆」です。

動画との違い:動画では「圧倒的なデータ」と話しましたが、確認できたのは対象者・製品の形・量がそれぞれ異なる少数の試験で、そこまでは言えません。また、DNJが「インスリンの働きを助ける」ことを示した研究は確認できず、茶の試験ではインスリンの値はむしろ低くなっていました。糖の吸収や分解がゆるやかになった結果という説明が考えられますが、確定していません。

※桑の葉を飲むと食後の眠気が減るかを調べた研究は、今回確認した範囲ではありません(未検証)。

DNJの量や、お茶と抽出物の違いは?

動画で話したこと

桑の葉にはサプリや顆粒などいろいろな形がありますが、お茶をおすすめしました。

研究で分かっていること

DNJは、糖を分解する酵素の働きを妨げる成分として研究されてきました。ただ、市販の桑の葉製品にはDNJの含有量が乾燥品100 gあたり100 mg程度と低いものがある、という指摘もあります。確度は「機序的仮説」です。

肥満があり境界型の方を対象にした試験では、DNJ 12 mgが食後の高血糖をやわらげる最小の有効量でした。ただし、お腹の張り、おなら、軟便といった消化器症状が多くみられました。

動画との違い:動画ではお茶を勧めましたが、研究では茶、抽出物、粉末などが別々の試験で使われていて、「お茶が最も良い」と比べた研究は確認できません。製品によってDNJ量が違うため、DNJ量が表示されている製品を選ぶと比べやすくなります。

桑の葉茶は、いつ・どう飲めばよいの?

動画で話したこと

食前10〜15分前に、熱湯で抽出した一番茶を飲むことが重要だとお話ししました。

胃腸が敏感な方は、顆粒や粉末を直接摂るとお腹がもたれて食欲が落ちることがあるため、お茶をおすすめしました。当院には過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎の方が多く来られ、臨床ではそういったケースを経験しています。

研究で分かっていること

健康な成人に桑の葉の抽出物を1回摂ってもらった試験では、夕方の摂取では糖への反応が改善し、朝の摂取では改善が見られませんでした。飲む時間帯で結果が変わる可能性があります。

食前10〜15分という時間や、一番茶・熱湯抽出が良いという記載は、今回確認した研究の抄録にはありませんでした。確度は「未検証」です。

動画との違い:動画の「食前10〜15分前」「一番茶」「熱湯抽出」は、今回確認した研究では裏づけられていません。院長の経験から出た提案として受け取っていただき、胃腸の負担が少ない飲み方を探す参考にしてください。

桑の葉茶は、誰でも飲んで大丈夫?

研究で分かっていること

健康な成人48人が、桑の葉の抽出物入りの緑茶を1日3回、4週間飲んだ試験では、有害事象は報告されていません。

一方、別の小規模試験(完了した人は17人)では、腎機能の指標である血清クレアチニンの15%の上昇が報告されています。

血糖を下げる薬を使っている方、腎臓に持病のある方、妊娠中・授乳中の方は、主治医や薬剤師に相談してから試してください。

東洋医学では食後の眠気をどう考えるのか?

動画で話したこと

桑の葉茶は、東洋医学の古典で血糖スパイクの対策に使われたものではなく、現代医学・現代の栄養学に基づいて紹介している、とお伝えしました。

東洋医学の考え方

東洋医学では、食べたものを消化・吸収して、身体を動かすエネルギー(気)と血のもとに変える働きを「脾(ひ)」が担うと考えます。脾の働きが、疲れや冷え、食べ方の乱れで落ちると、食べたあとに身体が重だるく、眠くなりやすいと考えます。

これは東洋医学の考え方であり、現代の生理学で検証されたものではありません。この記事の桑の葉の話は、古典ではなく現代の研究に基づいています。

セルフケアのポイント

まず「いつ眠くなるか」を記録する

  1. 食事の時刻と内容を書く
  2. 眠くなった・だるくなった時刻を書く(食後すぐか、数時間後か)
  3. 冷や汗、手の震え、強い空腹感があったかを書く
  4. 1〜2週間続けて、パターンを見る

桑の葉茶を試すとき

DNJ量が表示されている製品を選び、少量から試します。食事の内容や量は変えず、お腹の張りや軟便が出ないか、眠気の記録と一緒に確認してください。

※効果には個人差があります。体調に合わない場合は中止してください。

セルフケアで改善しない場合は

食後のだるさ・冷や汗・手の震えが毎回強く出る場合は、医療機関で食後の血糖を調べてもらってください。

食後の不調について相談したい方へ

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よくある質問

食後に眠くなるのは、血糖が原因ですか?

血糖の動きが関わる可能性はありますが、現時点の研究では原因と言い切れません。食事と血糖と眠気の関係を調べた総説でも、因果関係は不明とされています。食事の内容や量、睡眠不足、体質など、ほかの要因も重なると考えられます。

食後すぐの眠気と、数時間後のだるさは同じ原因ですか?

同じとは限りません。食後すぐ(2時間ごろまで)の眠気と、食後2〜5時間ごろに起こる反応性低血糖によるだるさは、時間帯も仕組みも別に考える必要があります。まずは「食後どのくらいで眠くなるか」を記録すると、見分ける手がかりになります。

桑の葉茶を飲むと、食後の眠気は減りますか?

眠気が減るかどうかを直接調べた研究は、今回確認した範囲ではありません(未検証)。確認できたのは、食後の血糖の上がり方がゆるやかになったという報告までです。眠気への効果は、期待できるとも期待できないとも言えません。

桑の葉茶は、食前何分前に飲めばよいですか?

「食前10〜15分前」と紹介されることがありますが、今回確認した研究の抄録には、この時間の記載がありませんでした。摂取する時間帯で効果が変わったという報告(夕方は有効、朝は有効性が見られなかった)はありますが、食前何分が良いかは未確認です。

桑の葉茶は誰でも飲んで大丈夫ですか?

健康な成人が4週間飲んだ試験では、有害事象は報告されていません。一方、お腹の張りや軟便が出たという報告や、別の小規模試験で腎機能の指標が上がったという報告もあります。血糖を下げる薬を使っている方、腎臓に持病のある方、妊娠中・授乳中の方は、飲む前に主治医や薬剤師に相談してください。

桑の葉は、お茶・顆粒・サプリのどれが良いですか?

研究で使われた形はお茶、水抽出物、DNJ(1-デオキシノジリマイシン)を強化した粉末などさまざまで、どれが良いとは比べられていません。市販品はDNJ量が低いものがあると指摘されているため、DNJ量が表示されている製品を選ぶと比較しやすくなります。胃腸が敏感な方は、顆粒や粉末でお腹がもたれることがあるため、お茶から試す方法があります。

監修

木もれび鍼灸院/ツボ塾 代表

弓削 周平(ゆげ しゅうへい)

保有資格
  • 鍼灸師(はり師・きゅう師)
  • 日本東洋医学会会員
経歴
  • 2002年 明治東洋医学院専門学校卒業
  • 2011年 長春中医薬大学卒業(中医学士)
  • 2014年 木もれび鍼灸院開業

参考文献

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