しゃっくり(吃逆)は、横隔膜が不随意に縮むことを繰り返したあと、のどの空気の通り道の入り口(声門)が突然閉じて、特徴的な音が出る現象です。短い時間のものはごく一般的で、多くは自然に治まります。一方で、2日を超えて続くもの(持続性)や1か月を超えて続くもの(難治性)はまれですが、かなりの苦痛を伴うとされています。男性に多いことも知られています。
- 一日中しゃっくりが出て、話すことも食べることも落ち着かない
- 横になっても出て、眠りにくい
- 病院で診てもらっても、原因がはっきりしないと言われた
- 息を止めるなど、いろいろ試したのに止まらない
- 止まらない日が続いて、このまま治まらないのではと不安になる
当院にも、こうした長引くしゃっくりのお悩みでご相談に来られる方がいます。
安心してください。しゃっくりが長引くのは、あなたのせいではありません。ただ、長く続くしゃっくりは、まず医療機関で原因を確かめることが大切です。
しゃっくりの3つの分け方
- 一過性
- ごく一般的なしゃっくりです。多くは自然に治まります。
- 持続性(2日を超えて続く)
- まれですが、かなりの苦痛を伴うとされています。まず医療機関で原因を確認します。
- 難治性(1か月を超えて続く)
- これもまれです。治療が難しいことが多く、原因となる病気が隠れていないかの確認が欠かせません。
そこで本記事では、持続性・難治性のしゃっくりに悩む方に向けて、起こるしくみや受診の目安、東洋医学の見方を解説します。医療機関での検査・治療を受けたうえで、しゃっくりが長引く・繰り返す体質面のご相談について、当院の考えをお伝えします。
長引くしゃっくりでお困りならば東洋医学専門の鍼灸院へ
大阪の鍼灸院
しゃっくりの症状

しゃっくりの主な症状は以下のとおりです。
- のどから「ヒック」という短い音が、続けて何度も出る
- 胸のあたりが突き上げられるような感じがする
- 自分では止めにくい
- 会話の途中で出て、話しづらくなる
- 食べ物をかむ・飲み込むときに邪魔になる
- 呼吸のリズムが乱される
- 眠りを妨げられる
東洋医学の教科書(針灸治療学)には、腹部の手術のあとに起こると、傷口の痛みが増すことも記されています。
症状が重い方ですと
- 昼も夜も止まらない
- 止まったり出たりを繰り返しながら、日をまたいで続く
- 会話・食事・睡眠のすべてに支障が出る
といった状態になる場合もあります。
仕事中の会話、家族との食事、夜の睡眠。当たり前の時間が落ち着かなくなり、疲れも溜まっていきます。周りからは「しゃっくりくらい」と思われがちで、つらさを分かってもらいにくい症状です。
しゃっくりの主な原因

西洋医学の観点から、しゃっくりが起こるしくみと原因を整理します。
起こるしくみ
横隔膜は、胸とおなかを分けて呼吸を支える筋肉です。この横隔膜を動かす神経(横隔神経)が刺激されたとき、または、呼吸の筋肉を支配する脳の延髄(呼吸の中枢)が刺激されたあとに、しゃっくりが起こるとされています(確立した医学的な説明)。
短い時間のしゃっくりの原因
一過性のしゃっくりは、次のようなことがきっかけになることが多いとされています。
- 胃がふくらむこと(胃拡張)
- 飲酒
- 熱いものや刺激物を飲み込むこと
長引くしゃっくりの原因
持続性・難治性のしゃっくりには、多数の原因があるとされています。代表的なものは次のとおりです。
- 胃食道逆流症(逆流性食道炎)などの食道の病気
- 腹部の手術
- 腸・胆のう・肝臓・膵臓の病気
- 胸部の手術
- 肺炎・心膜炎・横隔膜胸膜炎などの胸の病気
- アルコール使用症
- 後頭蓋窩(頭の奥・下のほう)の腫瘍や梗塞
- 尿毒症(腎臓の働きが大きく落ちた状態)
ただし、しゃっくりの原因は一般に不明で、診察や検査で特別な所見が見つからないことも多いとされています。一方で、まれに重い病気が隠れていることがあるため、長引くときは原因を調べることが大切です。
手術のあと・病気の経過中のしゃっくり
手術のあとや飲酒のあとに起こるしゃっくりは、その出来事と関係している可能性があります。重い病気の経過中や手術後に出るしゃっくりは、主治医に伝えてください。
胸やけ・ゲップ・のどの違和感を伴うしゃっくり
胃の内容物が上がってくる胃食道逆流症が関わっていることがあります。胸やけや飲み込みにくさ、咳、胸の痛みを伴うときは、受診の際にあわせて医師に伝えてください。胃食道逆流症については逆流性食道炎のページで解説しています。
神経の症状を伴うしゃっくり
手足のしびれ、ろれつが回らない、ふらつきなど、神経の症状を伴うときは注意が必要です。診察では、神経の診察が重要とされています。
てんかんは、大脳皮質の神経細胞が過剰に興奮することで、けいれんなどの発作性の症状を繰り返す慢性の病気とされています。そのうち「部分発作」は、過剰な興奮が大脳の一部に限られて始まるもので、意識が保たれる単純部分発作では、身体の一部のけいれんなどが起こるとされています。脳の病気(てんかんの部分発作など)の症状として、しゃっくりのような症状が出ることがあります。気になるときは、医療機関に相談してください。
次のようなしゃっくりは、まず医療機関を受診してください
- 2日以上続く(持続性)、1か月以上続く(難治性)
- 手足のしびれ、ろれつが回らない、ふらつきなど、神経の症状を伴う
- 重い病気の経過中、または手術のあとに出ている
まず医療機関で原因を確認し、重い病気がないかを調べてから鍼灸をご検討ください。重い病気が見つかった場合は、主治医の治療を優先してください。当院では施術前の問診でこうしたサインがないかを確認し、必要な場合は医療機関の受診をおすすめしています。
受診すると、いつから・どのくらい続いているか、試した対処、最近の病気や手術との関係、胸やけなどの消化器の症状や咳・胸の痛み、飲酒の状況などが聞かれます。必要に応じて検査も行われます。
それでも、しゃっくりは原因がはっきりしないことが少なくありません。「検査では特に異常なし」と言われ、なぜ止まらないのかが分からないまま、つきあい続けている方もいらっしゃいます。
しゃっくりに東洋医学がおすすめの理由

しゃっくりの治療とのつきあい方
しゃっくりの原因になっている病気があれば、その病気の治療が行われます。薬が使われることもありますが、効果は限られるとされています。服用中の薬は、自己判断でやめないでください。
一方で、
- 原因がはっきりしないまま、経過をみている
- いろいろ試したが、しゃっくりが止まらない
- しゃっくり以外の不調(ゲップ、胸のつかえ、食欲の低下など)も残っている
というご相談があります。医療機関での検査・治療を受けながら、しゃっくりが起こりにくい体づくりを並行して進めることが大切だと、当院では考えています。
ご自宅での対処について
息を深く吸って止める、紙袋を口に当てて深呼吸するといった方法が知られています。ただし、効果的でない可能性があり、使うことを勧める頑健なエビデンスはないとされています。なお、ビニール袋は鼻に張りついて鼻の穴をふさぐ恐れがあるため、使わないでください。
東洋医学で内側からしゃっくりを整える

東洋医学の教科書(針灸治療学)では、しゃっくりは「呃逆(古くは『哕』)」と呼ばれています。胸のあたりに気が突き上がるように感じ、短い音が続けて出る症状とされ、ほかの病気の経過中に現れることもあると書かれています。
東洋医学では、しゃっくりだけに着目するのではなく、一緒に起きている下記のような症状にも目を配り、全身の状態をチェックします。
- ゲップが出る
- 胸のつかえ
- みぞおちのつかえ
- 脇の痛み
- 食欲がない
- 食後のおなかの張り
- 手足の冷え
- 疲れやすい
- 軟便、または便秘
- 口やのどの渇き
東洋医学では、しゃっくりを、のどや胸だけの問題ではなく、体の内側のバランスの乱れのあらわれと考えます。全身の調子を整えることで、しゃっくりを繰り返しにくい体を目指していくのが東洋医学でのやり方です。
木もれび鍼灸院での施術の特徴
続けて、木もれび鍼灸院での施術についてくわしくご紹介します。

まずは、「四診」とよばれる東洋医学の伝統的な方法で、徹底的なカウンセリングを実施し、全身の状態を把握します。
四診とは、
- 視覚を通してチェックする「望診」
- 聴覚や嗅覚でチェックする「聞診」
- 問いかけと応答によりチェックする「問診」
- 脈や腹を診てチェックする「切診」
からなります。
しゃっくりの場合は、出始めた時期、気持ちが動いたときや食事との関係、横になったときの変化なども、くわしくうかがいます。
しゃっくりを五臓の視点からみる

東洋医学の教科書では、しゃっくりの発生は主に「胃の気が上へ逆流すること(胃気上逆)」によると説明されています。胃は本来、食べたものを下へ通す働きを持つとされ、この流れが逆になると、気が胸のほうへ突き上がると考えます。
東洋医学では、
- 食事の乱れや長い病気で胃腸の働きが弱ったことによるしゃっくりは「脾」の不調
- 怒りや気持ちの滞りがきっかけで起こるしゃっくりは「肝」の不調
が原因と判断し施術をしています。(脾と肝は、西洋医学の脾臓・肝臓とは別物です。)
1つずつ解説していきます。
「脾」が原因の場合
「脾」は、飲食物を消化し、体を動かすエネルギーに変える働きを担っています。冷たいものや辛いものの摂りすぎ、長引く病気などで脾の働きが弱ると、胃の気が下へ降りにくくなり、上へ逆流しやすくなると考えます。教科書では、このタイプのしゃっくりは声が低く弱く、続きにくいと記されています。
しゃっくり以外の症状として、
- 食欲がない
- 食後のおなかの張り
- 手足の冷え
- 疲れやすい
- やせてきた
- 顔色がさえない
などの症状が多くみられます。
「肝」が原因の場合
「肝」は、気の流れをのびやかに保つ働きを担っています。怒りなどで気持ちが滞ると、肝の気が胃のほうへ影響して、胃の気が上へ逆流しやすくなると考えます。教科書では、気持ちが動いたときに出やすく、眠っている間は止まるといった特徴が記されています。
しゃっくり以外の症状として、
- ゲップが出る
- 胸のつかえ
- みぞおちのつかえ
- 脇の痛み
- 気持ちが動くと出やすい
- 眠っている間は止まる
などの症状が多くみられます。
脾と肝の両方が関わっている方も少なくありません。四診で全身の状態をていねいに見極め、胃の気を整えて下へ導く方針で、その方に合ったツボを選んで施術します。教科書では、中脘・内関・足三里・膈兪といったツボが基本として挙げられています。
鍼灸の限界についても、正直にお伝えします。教科書の考察では、鍼灸は経過が短く勢いのあるタイプには効果が得られやすい一方、経過が長く体力が落ちたタイプでは効果が劣るとされています。また、重い病気の終末期に出るしゃっくりは、見通しが厳しいとも記されています。だからこそ、医療機関での確認と主治医の治療を優先していただきます。
一人ひとりの体の状態に合わせて鍼灸によるツボの刺激をはじめ、
- 薬膳(食養生)
- 生活習慣のアドバイス
- 運動療法
などを組み合わせ、体の機能を高めていくのが東洋医学です。ですので、しゃっくりのつらさを和らげることを目指すとともに、様々な不調の改善にも取り組んでいきます。
患者さまからの喜びの声

のどの不調(エヘン虫)
のどの不調(エヘン虫)で半年以上続いていました。治まってはいませんが、以前よりはましになりました。運動と食事改善をし、様子をみていこうと思います。
※ご本人の感想を一部編集・要約して掲載しています。感じ方や経過には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。
※口コミは、ご本人が記された症状についての声で、しゃっくりについての声ではありません。
おわりに
今回はしゃっくりについてお話させていただきました。
長引くしゃっくりは、まず医療機関で原因を確かめることが大切です。そのうえで、検査を受けても止まらない、繰り返してしまうという方も、一人で抱えなくて大丈夫です。東洋医学を専門とする木もれび鍼灸院では、のどや胸だけでなく全身の状態を診ることで、お力になれることがあると考えています。重い病気が見つかった場合は、主治医の治療を優先してください。
今現在、しゃっくりでお悩みで、医療機関で検査を受けたうえで長引いている方は、ぜひ当院へご相談ください。しゃっくりを繰り返しにくい体づくりと、落ち着いた毎日を過ごせるようサポートさせていただきます。
参考資料
- Jonathan Gotfried.吃逆.MSDマニュアル プロフェッショナル版(消化管疾患).2024年5月.MSDマニュアル プロフェッショナル版
- 杨长森(主編).針灸治療学 1.8 呃逆.上海科学技術出版社.1985(2021年第28次印刷).※東洋医学の見方・ツボの記述は、この教科書の意訳です。
- 病気がみえる vol.7 脳・神経 第1版.メディックメディア.2011.p.372-373「てんかん」.※てんかんの定義と部分発作の説明のみ参照しています。
当院の技術は
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※全ての方に施術による効果を保証するものではありません。
施術効果には個人差があり、症状や体質、経過によって異なる場合があります。
